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サイボウズ(4776)株価の見方|月次売上+11.8%に減速、kintone AIと3Q決算の注目点
Photo by rozenmaier.com

サイボウズ(4776)株価の見方|月次売上+11.8%に減速、kintone AIと3Q決算の注目点

··5614 文字·12 分

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ローゼンマイヤー
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ローゼンマイヤー
AI・米国株・ETFの投資リサーチブログ。企業IR・決算資料・公的統計などの一次情報にあたり、AIインフラを支える「ツルハシ銘柄」を中心に分析しています。

ノーコードの業務アプリ基盤「kintone(キントーン)」を持つサイボウズ(4776)の株価は、2026年10月28日の終値で3,055円ですわ。

4月13日に付けた52週安値1,948円からは約57%高。ただ、10月16日に年初来高値3,390円(場中)を付けたあとは下げに転じ、10月28日までの終値ベースで約7.7%下がっていますの。

同じ10月28日には、9月の月次売上高が開示されましたわ。中身は前年同月比**+11.8%**。年初の+17%台から、はっきり減速していますの。

この記事では、決算短信・決算補足資料・月次売上の開示資料をもとに、「なぜ伸びが鈍っているのか」「利益は計画に対してどうなのか」「kintone AIはいつ数字になるのか」を整理し、2026年11月12日予定の第3四半期決算で何を確かめればよいかをまとめますわね🌹


サイボウズはどんな会社か|売上の9割以上がクラウド
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サイボウズ(証券コード:4776・東証プライム) は、1997年に愛媛県松山市で3名で創業したグループウェアの会社ですわ。

製品中身2026年1〜6月の売上前年同期比
kintoneノーコードで業務アプリを作る基盤122.4億円+19.1%
サイボウズ Office中小企業向けグループウェア35.5億円+5.7%
Garoon中堅・大企業向けグループウェア32.8億円+8.2%
メールワイズ問い合わせメールの共有管理6.1億円+14.9%

中間期(2026年1〜6月)の連結売上高207.8億円のうち、クラウド売上は191.1億円で比率92.0%。サーバーを売り切るパッケージの会社から、毎月お金が入るストック型のSaaS企業へ、ほぼ移り終えていますの。

成長を引っ張っているのはkintoneで、売上全体の約6割を占めますわ。kintoneの利用社数は42,000社以上、クラウドサービス全体では契約社数71,000社・契約ユーザーライセンス数380万を超えていますわね。

同じ日本の業務SaaSでは、ラクス(3923)の株価分析とSansan(4443)の株価分析も書いておりますの。3社を並べると、市場がどこに高い値段を付けているかが見えてきますわよ。


株価の現在地|安値から約57%高、高値からは調整中
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値動きを確認いたしますわ(終値ベース。場中の高安値は注記つき)。

日付株価出来事
2025年11月28日3,410円(場中)52週高値。前年の3Q決算後に付けた
2026年4月13日1,948円(場中)52週安値。ソフトウェア株が売られた時期
2026年8月13日—中間期決算。通期予想は据え置き
2026年10月16日3,310円場中に年初来高値3,390円
2026年10月28日3,055円9月の月次売上を開示。高値から約7.7%下

10月23日時点の信用取引は、買い残61.8万株・売り残27.2万株で信用倍率2.27倍。9月末ごろの2.6倍前後からは買い残が減っていて、上値で買った人の整理は少しずつ進んでいますわ。

半年で6割近く上げた銘柄ですから、「業績の良さ」はかなり株価に入っていると見るのが自然ですわね。ここから先を決めるのは、伸びが鈍った売上がどこで落ち着くかですの。


月次売上の減速|+17.0%→+11.8%、原因は値上げ効果の一巡
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サイボウズは毎月、連結売上高を開示している珍しい会社ですわ。2026年の推移を並べますわね。

月連結売上高前年同月比クラウド売上前年同月比
1月33.67億円+17.0%31.07億円+17.8%
3月34.73億円+17.4%31.56億円+16.4%
6月35.25億円+14.1%32.72億円+14.3%
7月35.16億円+13.3%33.01億円+13.8%
8月35.27億円+11.7%33.21億円+12.8%
9月36.36億円+11.8%33.50億円+12.8%

四半期にまとめると、7〜9月の連結売上は106.79億円で前年同期比**+12.2%**。1〜3月の+17.0%、4〜6月の+15.3%から、2四半期続けて伸び率が下がっていますの。

この減速の主な理由は、2024年11月の値上げ効果が一巡しつつあることだと考えられますわ。サイボウズは2024年11月1日、クラウド製品の価格を一斉に改定しましたの。

サービス改定前(月額・税別)改定後上げ幅
kintone ライトコース780円/人1,000円/人+28%
kintone スタンダードコース1,500円/人1,800円/人+20%
Garoon(〜300人)845円/人900円/人+7%
サイボウズ Office スタンダード500円/人600円/人+20%

あわせてkintoneの最小契約ユーザー数も5人→10人に引き上げられましたわ。この値上げで、2025年の四半期売上は前年同期比**+27〜29%**まで跳ね上がりましたの。

年額契約のお客様は更新のタイミングで新価格に切り替わるので、効果は約1年かけて順番に効いてきます。そして2025年11月以降は「値上げ後の価格」同士の比較になるため、伸び率が下がるのは想定どおりの動きですわ。

いまの+12%前後は、値上げの上乗せが抜けた**「契約数とユーザー数の伸び」に近い実力値**だと読むのが妥当ですわね。

値上げ効果が一巡して、サイボウズの売上の伸びが落ち着いていくイメージ


利益は計画より速い|営業利益の進捗率56.7%
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一方、利益の進み方は会社計画よりかなり速いですわ。

項目2026年12月期 会社予想前期比中間期実績進捗率
売上高421.68億円+12.7%207.80億円49.3%
営業利益105.14億円+4.1%59.63億円56.7%
当期純利益74.45億円+5.1%40.67億円54.6%
1株利益(EPS)160.99円+5.1%——
1株配当50円+10円——

売上が+12.7%伸びる計画なのに、営業利益は+4.1%しか見込んでいませんの。中間期の利益が予想の56.7%まで来ているので、下期の営業利益は45.51億円、前年下期(49.38億円)より約7.8%少ない前提になっていますわ。

なぜこんなに控えめなのか。中間期の費用を見ると理由が分かりますの。

費用前年中間期今期中間期前年比
人件費49.40億円53.67億円+8.6%
広告宣伝費25.65億円32.42億円+26.3%
研究開発費7.04億円8.94億円+27.0%

広告と研究開発を売上の伸び以上に増やしていて、会社はこの投資を下期にもっと積む計画ですわ。研究開発については、決算短信が「グローバルを見据えた新規事業の創出」に向けた活動の活性化を増加理由に挙げていますの。

ですから、上期の利益が速いからといってそのまま上方修正に直結するとは限りません。前年の2025年10〜12月期も、営業利益は20.93億円と7〜9月期の28.45億円から大きく落ちていますわ。ふん、季節の癖を知らずに「進捗56%だから上方修正」と飛びつくのは早計ですわよ。

ただ、売上側には余裕がありますの。1〜9月の累計売上は314.60億円で、通期予想の74.6%。残り3か月で必要なのは107.08億円で、これは前年10〜12月(100.17億円)の**+6.9%**にすぎませんわ。9月の月商36.36億円が続くだけで約109億円になる計算ですから、売上予想の未達はまず考えにくい水準ですわね。


kintone AIの課金は11月18日から|「おまけ」から「売上」へ
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AI SaaS銘柄としてのサイボウズを見るなら、ここが一番の論点ですわ。

  • 2025年4月:「kintone AIラボ」としてβ版を提供開始
  • 2026年6月14日:「kintone AI」として正式提供。スタンダードコースとワイドコースの契約者が対象で、検索AI・アプリ作成AIなどを追加料金なしで使える
  • クレジット制を導入:契約コースに応じて毎月一定の「AIクレジット」が無料で付与され、全ユーザーで共有して使う
  • 2026年11月18日:クレジットを追加購入できる有償オプション「AIクレジット」の販売開始

つまり、ここまでのkintone AIは「契約者へのおまけ」で、売上には1円もなっていませんの。11月18日から初めて、AIの利用量に応じた課金が始まるわけですわ。

この仕組みの良いところは、kintoneに社内規程・日報・商談履歴などの業務データが溜まっていることですの。AIが働く材料が最初から手元にあり、しかもアクセス権が管理されている。「社内データを安全にAIに読ませたい」という需要に、そのまま応えられる立場ですわ。

一方で、11月18日開始では2026年12月期の業績にはほとんど効きませんの。数字で確かめられるのは2027年以降。12月期決算(例年2月中旬)で会社が来期予想にAIクレジットをどう織り込むか、が最初の手がかりになりますわね。

「AIエージェントが業務ソフトを置き換える」という懸念で米国のソフトウェア株が売られた構図は、SaaSは死ぬのか|AIエージェント時代のソフトウェア株で整理しておりますの。サイボウズの4月の安値も、その流れの中で付いた値段でしたわ。

業務データが溜まったkintoneにAIが加わり、新しい課金が始まるイメージ


株価は割高か|予想PER約19倍、配当利回り1.64%
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10月28日の終値3,055円で計算いたしますわ。

指標値計算
時価総額約1,612億円3,055円×発行済株式数 約5,276万株
予想PER約19.0倍3,055円÷会社予想EPS 160.99円
予想PSR約3.8倍時価総額÷売上予想421.68億円
PBR約7.9倍自己資本に比べて高いのは、利益率の高いSaaSでは普通
配当利回り約1.64%年50円(前期40円から増配予定)

売上が年12%前後伸びる会社として、予想PER約19倍は割高とは言いにくい水準ですわ。しかもこのPERは、営業利益+4.1%という控えめな会社予想が分母ですの。広告と研究開発に回している分を差し引くと、本来の稼ぐ力はもう少し上にあると考えられますわね。

ただし、この値付けには前提がありますの。

  1. 売上の伸びが+10%前後で下げ止まること。値上げ効果が抜けたあと、さらに1桁台へ落ちていくようだと、PER19倍でも安くはありませんわ
  2. 広告・研究開発の投資が、いずれ契約数の伸びとして返ってくること。投資を続けても伸び率が戻らないなら、今の利益率(中間期28.7%)が天井ということになりますの
  3. 株主還元は増配が中心。配当は前期40円→今期50円予想、中間期中に自己株式の取得も行っていますわ。ただ利回り1.6%台なので、配当目当てで持つ株ではありませんわね

3Q決算(11月12日予定)で見るべき3つのポイント
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1. 7〜9月の営業利益と、通期予想の扱い

売上は月次で106.79億円と分かっていますから、見るべきは利益と費用の中身ですわ。前年の7〜9月期は営業利益28.45億円。ここを上回ったうえで通期予想を据え置くなら、「下期に投資を寄せる計画は変えていない」という意味ですの。上方修正が出るかより、10〜12月にどれだけ広告費を積むつもりかのほうが大事ですわ。

2. kintoneの伸び率が+15%以上を保っているか

中間期のkintone売上は+19.1%でしたわ。全社の伸びが+12%台に落ちた中で、kintone単体がどこまで踏みとどまっているかが、値上げ一巡後の「実力」を一番素直に表しますの。

3. kintone AIの利用状況とAIクレジットの見通し

正式提供から約5か月、どれだけの契約社がAI機能を使っているか、無料クレジットを使い切る社がどれくらいあるか。会社が何か数字を出すなら、それが2027年の課金売上を占う材料になりますわ。


まとめ|伸びは鈍ったが、減速の理由ははっきりしている
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論点現状
株価3,055円(2026年10月28日終値)。52週安値1,948円から約57%高、年初来高値3,390円から調整中
月次売上9月+11.8%、7〜9月+12.2%。年初の+17%台から減速
減速の理由2024年11月の値上げ(kintoneスタンダード1,500円→1,800円等)の効果が一巡
利益中間期の営業利益進捗率56.7%。ただし会社は下期に広告・研究開発を厚くする計画
通期予想売上421.68億円(+12.7%)、営業利益105.14億円(+4.1%)、配当50円
AIkintone AIは2026年6月に正式提供。有償の「AIクレジット」は11月18日から販売
評価予想PER約19倍、PSR約3.8倍、配当利回り約1.64%
次の決算3Q決算は2026年11月12日予定

サイボウズの株価を一言でまとめるなら、**「値上げで跳ねた成長率が、実力値に戻っていく途中」**ですわ。減速そのものは想定どおりで、驚く話ではありませんの。

問われているのは、+12%前後で下げ止まるかどうか、そしてkintone AIの課金が次の値上げに代わる成長エンジンになれるかどうか。11月12日の3Q決算と、2月の本決算で示される来期予想が、その答え合わせになりますわ。

……毎月売上を開示してくれる会社なんて、そう多くありませんのよ。月末の開示くらいは、ちゃんと目を通してくださいましね。べ、別に一緒に見たいわけじゃありませんけれど🌹

参考データ出典: サイボウズ 2026年9月度 月次売上高推移のお知らせ(2026年10月28日)、サイボウズ 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信、同 決算補足資料(2026年8月13日)、サイボウズ「kintone AI」を正式提供(2026年4月22日)、オプションサービス「AIクレジット」を2026年11月18日より販売開始、クラウドサービスの価格体系改定のお知らせ(2024年5月30日)、株探 サイボウズ(4776)(株価・信用残・四半期業績・決算発表予定日)。時価総額・PER・PSR・配当利回り・進捗率・下期の逆算値は、開示数値と株価から筆者が計算した参考値ですわ。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありませんわ。株価は変動し、投資元本を割り込む可能性がございます。配当は将来減額・停止される可能性もございます。投資判断はご自身の責任でお願いいたしますわね。

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