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レゾナック(4004)株価分析|半導体材料の利益率27%、コア営業利益2.5倍の中身とスピンオフ後の見方
Photo by rozenmaier.com

レゾナック(4004)株価分析|半導体材料の利益率27%、コア営業利益2.5倍の中身とスピンオフ後の見方

··5787 文字·12 分

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ローゼンマイヤー
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ローゼンマイヤー
AI・米国株・ETFの投資リサーチブログ。企業IR・決算資料・公的統計などの一次情報にあたり、AIインフラを支える「ツルハシ銘柄」を中心に分析しています。

AI半導体の話になると、名前が挙がるのはNVIDIA、TSMC、東京エレクトロン。

では、そのチップを基板に貼り付ける接着フィルムや、基板の芯になる板を作っているのはどこか──ここで出てくるのが、レゾナック・ホールディングス(4004)ですの。旧社名は昭和電工。2020年に日立化成を買収し、2023年に今の社名へ変えた会社ですわ。

まず、この数字をご覧になって。

2026年1〜6月(中間期)売上収益コア営業利益利益率
会社全体6,769億円888億円13.1%
うち半導体・電子材料2,990億円815億円27.3%

売上の44%しかない半導体・電子材料セグメントが、コア営業利益の92%を稼いでおりますの。前年同期のコア営業利益は346億円でしたから、会社全体で2.5倍ですわ。

今日は「レゾナックの株価」を、決算短信の数字とスピンオフの経緯から解剖してまいりますわ。


まず株価から──スピンオフ直後に3日で+24%
#

実測値を置きますわね。株価は2026年10月2日(金)の終値ですの。

項目数値
株価(10/2終値)17,280円
9/29終値(スピンオフの権利落ち日)13,915円 → 3日で +24.2%
2026年1月5日終値6,751円
1年前(2025/10/2)終値5,450円
時価総額3兆3,031億円
PER(会社予想)29.1倍
PBR4.16倍
配当利回り0.38%(予想65円)
信用倍率104倍

(株価・指標は株探、過去の終値はYahoo! Finance。9月28日以前の株価はスピンオフの価格調整をまたぐため、10月以降の株価と単純に比べられない点にご注意くださいまし)

9月30日+7.69%、10月1日+6.07%、10月2日+8.71%。3日続けて6%以上の上昇ですわ。同じ3日間の日経平均は65,481円→68,309円で+4.3%ですから、相場全体の上げを大きく上回っておりますの。

株探は10月2日の上昇を「米キャピタル・リサーチらの買い増しで思惑」という見出しで報じておりましたわ。大口の海外投資家が保有を増やしたことが、手がかりの一つになったということですわね。

ここで目を留めていただきたいのが、信用倍率104倍。 信用買い残が売り残の100倍以上ある、ということですの。上がるほうに賭けている短期資金がそれだけ積み上がっている。下げ局面では、この買い残が売り圧力に変わり得ますわ。


スピンオフで何が起きたのか──石油化学を切り離した
#

9月末の値動きを読むには、クラサスケミカル(646A)のスピンオフを押さえる必要がありますの。

日付出来事
2026年7月6日石油化学子会社クラサスケミカルのパーシャル・スピンオフを発表
9月28日権利付最終日
9月29日権利落ち日/クラサスケミカルが東証スタンダードに上場
10月1日現物配当の効力発生日

レゾナック1株を持っていた株主には、クラサスケミカル株が1株ずつ配られましたわ。楽天証券の案内によると、取得価額の按分に使う「分配資産割合」は0.085。つまり、レゾナック株の価値のおよそ8.5%がクラサス株として切り出された計算ですの。

日経の報道では、スピンオフ後のレゾナックの持ち分は20%未満となり、クラサスは連結から外れますわ。

これが株価にとって何を意味するか。

ナフサ価格で業績が振れる石油化学が抜けて、レゾナックは「半導体材料の比率がさらに高い会社」になったということですの。実際、会社の2026年12月期予想は、クラサスを期初から非継続事業として扱った数字で出し直されておりますわ。

ちなみに、クラサスケミカルの側も上場初日に一時ストップ高をつけたと日経は報じておりますの。DOE(株主資本配当率)5%を掲げた高配当株として、個人の買いを集めたそうですわ。


レゾナックは何を作っているのか──「世界シェアNo.1」の5つの材料
#

半導体の作り方は、大きく前工程(ウェハの上に回路を作る)と後工程(チップを切り出して基板に載せ、パッケージにする)に分かれますの。レゾナックの強みは後工程のほうですわ。

会社が「世界シェアNo.1」として公表している材料は次の5つですの(調査は富士キメラ総研・富士経済)。

材料工程何に使うか
銅張積層板(パッケージ向け)後工程パッケージ基板の芯(コア)になる板
感光性ドライフィルム後工程基板に微細な回路を焼き付けるフィルム
ダイボンディングフィルム後工程半導体チップを基板に貼り付ける接着フィルム
感光性絶縁材料後工程再配線層の絶縁膜(関連会社HDマイクロシステムズが製造)
CMPスラリー(STI用)前工程ウェハ表面を平らに磨く研磨液

5つのうち4つが後工程ですわ。

ICパッケージ基板の仕組みは、ICパッケージ基板(ABF基板)とは?の記事で解説しておりますの。あの記事で取り上げたイビデンが「基板を作る会社」、味の素が「基板の層のあいだに挟む絶縁フィルム(ABF)を作る会社」だとすると、レゾナックは基板の芯材と、回路形成のフィルムと、チップを貼る接着材を作る会社ですわ。

つまり、同じパッケージ基板のなかで、イビデン・味の素とは別の部品を握っているということですの。

半導体パッケージ基板の層構造と、そこに使われる材料を眺めるローゼ

HBMの積み重ねにも使われる「NCF」
#

もう一つ押さえておきたいのが、**NCF(絶縁接着フィルム)**ですわ。

AI半導体に載る広帯域メモリHBMは、メモリチップを何段も積み重ねて作りますの。その積層に使う接着フィルムがNCF。レゾナックは2024年3月、NCFと放熱シート「TIM」の生産能力を従来の3.5〜5倍に増やすと発表し、約150億円の投資を計画しておりましたわ。

HBMそのものの話はHBM(高帯域幅メモリ)関連銘柄の記事にまとめておりますの。


決算──半導体・電子材料のコア営業利益が+92%
#

2026年8月6日に発表された中間決算(1〜6月)を、セグメント別に並べますわ。

セグメント売上収益前年比コア営業利益前年比
半導体・電子材料2,990億円+683億円815億円+390億円
モビリティ846億円△50億円43億円+30億円
イノベーション材料500億円+51億円63億円+14億円
ケミカル918億円+134億円△6億円+75億円
クラサスケミカル1,301億円△198億円38億円+46億円
合計6,769億円+348億円888億円+542億円

全社の増益542億円のうち、390億円(72%)が半導体・電子材料から来ておりますの。

決算短信の説明はこうですわ。

  • 後工程材料:主にAI等の先端半導体向けの販売数量が増えて増収
  • 前工程材料:メモリ市況の回復基調で増収
  • HDメディア(ハードディスクの記録媒体):データセンター向け需要が堅調
  • SiCエピタキシャルウェハー:一部顧客の需要増で増収

四半期で見ると、勢いはむしろ加速しておりますの。

半導体・電子材料売上収益コア営業利益利益率
2026年1〜3月1,347億円340億円25.2%
2026年4〜6月1,643億円475億円28.9%

30%値上げが通った
#

利益率を押し上げた要因の一つが値上げですわ。

レゾナックは2026年1月16日、電子回路基板向けの銅張積層板とプリプレグを全製品30%値上げすると発表し、3月1日出荷分から実施しておりますの。理由は、原料の銅箔やガラスクロスの需給逼迫と、人件費・輸送費の上昇ですわ。

30%という幅の値上げを通せるのは、買い手が代わりを見つけにくい材料だからですの。「ツルハシ」の条件である価格決定力が、数字に出た例と言えますわね。


通期予想──コア営業利益1,960億円、配当は65円据え置き
#

会社の2026年12月期予想(クラサスを除いた継続事業ベース)ですわ。

項目2025年実績2026年予想増減
売上収益10,468億円11,650億円+1,182億円
コア営業利益1,044億円1,960億円+916億円
うち半導体・電子材料1,084億円1,950億円+866億円
親会社の所有者に帰属する当期利益290億円1,125億円+835億円
1株当たり配当65円65円±0円

予想を見ると、半導体・電子材料のコア営業利益1,950億円が、全社の1,960億円とほぼ同じですの。ほかのセグメントの利益は、本社費用などの調整額(△200億円)でほぼ相殺される見込みですわ。

言い換えれば、スピンオフ後のレゾナックの利益は、ほぼ全部が半導体・電子材料から来るということですの。

当期利益の予想は、8月6日に770億円から1,125億円へ上方修正されておりますわ(日経)。

一方で、配当は65円のまま。利益が約4倍になる見込みでも増配はしておりませんの。会社は有利子負債を9,695億円(2025年末)から7,980億円(2026年末予想)へ減らす計画で、稼いだお金はまず借金の返済に回す方針が数字に表れておりますわ。

後工程材料の工場と、AI半導体の成長に伴う需要を見つめるローゼ


次の一手──JOINT3と「パネル」への移行
#

レゾナックを語るうえで外せないのが、**コンソーシアム(企業連合)**の運営ですわ。

2025年9月3日、レゾナックは日本・米国・シンガポールなどの半導体材料・装置・設計企業27社で**「JOINT3」**を設立しましたの。参加企業には東京エレクトロン、AGC、キヤノン、Applied Materials、Lam Researchなどが名を連ねておりますわ。

狙いはパネルレベル有機インターポーザー。

  • AI半導体は、複数のチップを「インターポーザー(中間基板)」の上に並べてつなぐ
  • チップが大きくなるほどインターポーザーも大きくなり、丸いウェハから切り出せる枚数が減る
  • そこで、**四角いパネル(515×510mm)**から切り出して取り数を増やそうとしている

レゾナックは茨城県の下館事業所内に試作ライン「APLIC」を構築し、2026年に稼働させる予定と発表しておりましたわ。前身の「JOINT2」や、米シリコンバレーの「US-JOINT」も運営しておりますの。

材料メーカーが、装置メーカーや設計企業を束ねて次世代パッケージの標準づくりに関わっている。ここがレゾナックの、ほかの化学株との違いですわね。


投資するなら押さえておきたい3つの注意点
#

1. 信用倍率104倍は短期資金の多さを示している

10月2日時点で信用買い残が売り残の104倍。3日で+24%という上げ方と合わせると、短期の値幅取りを狙う資金が多く入っていると読めますの。決算や半導体市況のニュース一つで、上にも下にも大きく振れやすい状態ですわ。

2. 業績は半導体の市況に連動する

スピンオフでナフサ価格の影響は小さくなりましたけれど、代わりに利益のほぼ全部が半導体・電子材料になりましたの。前工程材料はメモリ市況の回復が増収要因と書かれておりますから、メモリ市況が反転すれば逆風になりますわ。PER29.1倍は、AI向け後工程材料の成長が続くことを前提にした値段と考えるべきですの。

3. 配当目的には向かない

予想配当65円、利回り0.38%。100万円分持っても年間約3,800円(税引前)ですわ。配当を主目的にするなら、三菱商事やKDDIなどを別枠で検討なさって。

また、100株単位で17,280円×100株=172万8,000円。NISAの成長投資枠(年240万円)の7割以上を1回で使いますわ。枠の使い方は新NISA成長投資枠で個別株を買う完全ガイドにまとめておりますの。


ローゼの結論
#

レゾナック(4004)を3行にまとめますわ。

  1. スピンオフで「ほぼ半導体材料の会社」になった。2026年予想のコア営業利益1,960億円のうち、半導体・電子材料が1,950億円ですわ
  2. 中間期の半導体・電子材料は利益率27.3%、4〜6月は28.9%。後工程材料のAI向け数量増と、銅張積層板の30%値上げが効いておりますの
  3. 株価は3日で+24%、信用倍率104倍。PER29.1倍はAI向け後工程材料の成長を織り込んだ値段で、短期の振れ幅は大きい状態ですわ

ですから、この銘柄を見るときの問いは「化学株として割安か」ではありませんの。「AI半導体のパッケージが大きく複雑になるほど、後工程材料の需要と価格決定力が続くと思うか」──ここに尽きますわ。

続くと思うなら、イビデン(基板)や味の素(ABF)と並んで、パッケージ基板の別の部品を押さえる銘柄として候補になりますの。続かないと思うなら、104倍の信用買い残は、下げ局面で重くのしかかってまいりますわ。

わたくしから申し上げられるのは、ここまでですの。判断は御自身でなさってくださいませ。

……ふん、べ、別に「チップを貼る接着剤が世界一」という地味な強みに惹かれたわけじゃありませんのよ。ただ、目立たない部品ほど代わりが利かないというのは、メイドの仕事と少し似ていると思っただけですわ 🌹


ご注意
#

本記事は特定の銘柄の購入を推奨するものではありませんわ。株価・指標は2026年10月2日終値時点の値であり、株価は変動し、投資元本を割り込む可能性がありますの。PERは会社予想EPSに基づく参考値であり、業績予想が修正されれば変動いたしますわ。JOINT3の試作ライン稼働時期などは会社の発表時点の予定であり、変更される可能性がありますの。最終的な投資判断は御自身の責任でお願いいたします。

データ出典:株価・時価総額・PER・PBR・配当利回り・信用倍率・日々の終値は株探(2026年10月2日終値)、過去の株価と日経平均はYahoo! Finance、業績・セグメント・通期予想・有利子負債はレゾナック「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算要約/決算短信」(2026年8月6日)、上方修正は日本経済新聞(2026年8月)、スピンオフの日程と分配資産割合は楽天証券「レゾナック・ホールディングス(4004)のスピンオフについて」、クラサスの上場・連結除外は日本経済新聞(2026年9月7日・29日)、世界シェアNo.1の5材料はレゾナック「世界シェアNo.1 5つの半導体材料とは?」、NCF・TIMの増産はレゾナック(2024年3月29日)、銅張積層板の値上げはレゾナック(2026年1月16日)、JOINT3はレゾナック(2025年9月3日)、10月2日の上昇材料は株探(2026年10月2日)。

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