NISAの成長投資枠で日本株を買った。配当金の入金通知も来た。ところが明細を見ると、20.315%がしっかり引かれている——。
これはNISAの不具合ではございませんわ。原因のほとんどは、配当金の受け取り方が「株式数比例配分方式」になっていないことですの。NISA口座に入っている株でも、配当金を銀行口座や郵便局で受け取る設定になっていると、非課税の扱いを受けられません。
この記事では、株式数比例配分方式とは何か、どこで確認するのか、いつまでに設定すればいいのかを先に片付けます。そのうえで、Bingでよく検索されている「NISAの個別株は配当を再投資できないのか」という疑問にも答えますわ。
結論:NISAで日本株を持つなら、確認することは2つだけ#
- 配当金の受領方法が「株式数比例配分方式」になっているか(証券会社の設定画面で確認できる)
- その設定が、配当の権利確定日より前に済んでいたか
この2つが揃っていれば、NISA口座で持っている国内株式・国内ETF・国内REITの配当金は非課税で証券口座に入金されますわ。どちらかが欠けると、NISA口座の株であっても課税されますの。
成長投資枠で個別株を選ぶときの基準そのものは、新NISAの成長投資枠で個別株を買う完全ガイドにまとめてあります。この記事は、その株を買ったあとに配当金をどう受け取り、どう回すかの話ですの。
株式数比例配分方式とは#
株式数比例配分方式とは、国内株式の配当金を、株を預けている証券会社の口座で受け取る方法ですわ。
日本株の配当金の受け取り方は、大きく分けて次の4つがあります。SBI証券の案内を整理すると、NISAとの関係はこうなりますの。
| 受領方法 | 配当金の入金先 | NISA口座の配当金 |
|---|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 株を預けている各証券口座 | 非課税 |
| 登録配当金受領口座方式 | 指定した1つの銀行口座 | 課税 |
| 配当金領収証方式(従来方式) | 郵便局・ゆうちょ銀行の窓口 | 課税 |
| 個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに指定した銀行口座 | 課税 |
なぜ証券口座で受け取らないと非課税にならないのか#
NISAの非課税は、証券会社が「これはNISA口座の株の配当だ」と把握して、税金を差し引かずに払うことで成り立っていますの。
銀行口座や郵便局で受け取る方式だと、配当金は発行会社(実務上は信託銀行)から直接支払われます。その時点で、その株がNISA口座にあるのか特定口座にあるのかを支払う側は区別できません。だから源泉徴収された状態で支払われてしまうのですわ。
証券口座で受け取る方式にしておけば、証券会社が口座区分ごとに配当金を振り分けられる。これが「株式数比例配分」という、少し分かりにくい名前の正体ですの。
設定の確認場所#
主要ネット証券では、ログイン後の設定画面から確認・変更できますわ。
- SBI証券: 「My設定」→「お取引関連・口座情報」→「配当金受領サービス」(SBI証券FAQ)
- 楽天証券・マネックス証券など: 各社のマイページ内「お客様情報」「配当金受取方法」の項目から確認できます。表記が変わることがあるので、画面の文言は公式ヘルプで確認してくださいまし
NISA口座を開設するときに、申込画面で株式数比例配分方式を選んでいる方も多いはずです。問題は「開設時に選ばなかった」「昔ほかの証券会社で別の方式に変えた」ケースですの。これは次の節で説明しますわ。
非課税にならない4つのパターン#
1. 権利確定日を過ぎてから設定した#
SBI証券は次のように明記していますの。
「株式数比例配分方式」以外を登録している場合や、配当の権利確定日以降に同方式を登録している場合、NISA口座(少額投資非課税口座)で保有している株式であっても配当金は非課税とはなりません
配当金は、入金日ではなく権利確定日(配当基準日)の時点で証券保管振替機構(ほふり)に登録されている方式で支払われますわ。3月決算の銘柄なら3月末が期末配当の基準日です。配当金が入金される6月になってから慌てて設定を変えても、その回の配当は課税されたままですの。
2. 別の証券会社で方式を変えていた#
ここが一番見落とされやすい落とし穴ですわ。
複数の証券会社に口座をお持ちの場合、一社で受領方法を変更すると、他の証券会社にお預けの株式等の受領方法もあわせて変更されます。
配当金の受領方法は、証券会社ごとではなく株主1人につき1つ、ほふりに登録されていますの。たとえば昔使っていた証券会社で「登録配当金受領口座方式(銀行口座でまとめて受け取る)」を選んでいたら、あとからNISA口座を作った証券会社の設定もそちらで上書きされている、ということが起こりますわ。
NISA口座を別の金融機関へ移した方、証券口座を複数お持ちの方は、いま使っている証券会社の画面で、現在の登録状況を一度見てくださいまし。
3. 特別口座に株が残っている#
特別口座で保有する株式(単元未満株を含む)がある場合は、当該方式をご利用いただけません。
相続した株や、昔の株券電子化のときに証券会社へ移さなかった株が「特別口座」(信託銀行が管理する口座)に残っていると、株式数比例配分方式を選べない場合がありますの。心当たりがあれば、信託銀行から届く書類を確認して、証券会社の口座へ振り替える手続きを先に済ませてくださいまし。
4. 国内上場の外国株式だった#
東京証券取引所に上場していても、外国企業の株式は株式数比例配分方式の対象外ですわ。SBI証券のFAQでも「国内上場外国株式の配当金等は、『株式数比例配分方式』の適用外となるため、課税対象となります」とされていますの。
投資信託・オルカン・米国株には関係あるのか#
サジェストに「nisa 株式数比例配分方式 オルカン」とあるように、ここを気にされる方も多いのですわ。整理するとこうなります。
| 商品 | 株式数比例配分方式の設定 | NISAでの扱い |
|---|---|---|
| 国内株式・国内ETF・国内REIT | 必要 | 設定していれば日本の税金が非課税 |
| 投資信託(オルカンなど) | 不要 | 分配金は証券会社経由で支払われ非課税 |
| 米国株・米国ETF | 不要(外貨建口座に入金) | 日本の税金は非課税、米国の10%は引かれる |
オルカンやS&P500の投資信託だけを積み立てている方は、この設定を気にしなくて大丈夫ですわ。 投資信託の分配金はもともと証券会社を通して支払われますの。
米国株については、日本側の20.315%は非課税になっても、米国で源泉徴収される10%は取り戻せません。NISA口座では外国税額控除も使えないためですわ。詳しくは米国株配当の外国税額控除・NISA活用ガイドで扱っていますの。

「NISAの個別株は配当を再投資できない」は本当か#
Bingでは「nisa成長投資枠 個別株 再配当できないのはやらないほうがよいか?」「楽天証券 nisa成長投資枠個別株 再配当」といった検索が実際に来ていますわ。答えを先に書きます。
日本株には、配当金で同じ銘柄を自動的に買い増す仕組み(DRIP)がありません。 野村證券の用語解説でも、配当再投資制度(DRIP)は米国企業が提供する制度で「日本では本制度は導入されていない」とされていますの。
ただし、自動で再投資されないことと、再投資できないことは別の話ですわ。株式数比例配分方式にしておけば、NISA口座の配当金は税金を引かれずに証券口座へ入金されます。その現金で自分で買い増せば、経済的には再投資と同じですの。
「自動で再投資されないから、NISAで個別株を持つ意味がない」ということにはなりません。非課税になる部分(配当そのものへの課税)は、再投資するかどうかと無関係に効いていますから。
再投資すると成長投資枠を使う#
ひとつだけ注意がありますわ。配当金で買い増した分は、新しい買付として成長投資枠を使います。 投資信託の分配金を再投資する場合も同じで、SBI証券は「再投資も非課税投資枠を消費します」と明記していますの。
成長投資枠は年間240万円、生涯では1,200万円(つみたて投資枠と合わせた総枠は1,800万円)ですわ。配当の再投資で使う額は年に数万円程度のことが多いので、枠を使い切る心配はたいていありません。とはいえ、年末に枠ぎりぎりまで買っている方は、配当の再投資分が入らずに課税口座で買うことになるので覚えておいてくださいまし。
なお、売却して空いた枠は翌年に復活します。枠の復活の仕組みは新NISA非課税枠が「復活」する仕組みで詳しく扱っていますわ。
分配金を出さない投資信託は枠を使わない#
少し見方を変えると、分配金を出さないタイプの投資信託(オルカンやS&P500のインデックスファンドの多く)は、ファンドの中で配当を再投資していますの。こちらは分配金として外に出てこないので、成長投資枠もつみたて投資枠も使いませんわ。
「手間をかけずに配当を再投資したい」だけなら、この仕組みがいちばん楽ですの。個別株は、銘柄を自分で選びたい・配当を現金で受け取って使い道を選びたいという方のための選択肢、と考えるのが素直ですわ。
成長投資枠で配当金を再投資する手順#
日本株の配当金で買い増すときの障害は、手数料よりも株価に対して配当金が少なすぎることですの。株価3,000円の銘柄を100株(30万円)持っていて利回り3%なら、年間の配当金は9,000円。100株単位では1株も買い足せませんわ。
そこで使うのが**単元未満株(1株単位の取引)**ですの。主要ネット証券はNISAの成長投資枠で単元未満株を買えます。
| サービス | 買付手数料 | 注意点 |
|---|---|---|
| SBI証券「S株」 | 無料(スプレッドなし) | 成行注文のみ。約定は1日3回 |
| 楽天証券「かぶミニ」 | 無料 | 寄付取引はスプレッドなし、リアルタイム取引は0.22%のスプレッド |
出典: SBI証券「NISAで1株から株式投資|S株」、楽天証券「かぶミニ 手数料」
手順#
- 株式数比例配分方式になっているかを確認する(上の設定画面で)
- 配当金の入金を待つ。 3月決算の期末配当なら6月、中間配当なら12月前後が目安ですわ
- 入金額で買える株数を計算する。 9,000円の配当なら、株価3,000円の銘柄を3株
- 単元未満株で、NISA(成長投資枠)を選んで注文する。 楽天証券のかぶミニなら、スプレッドのかからない寄付取引を選ぶと費用が抑えられますわ
- 同じ銘柄に限らず、配当金をまとめて別の銘柄に回すのも自由ですの
「同じ銘柄に戻す」かどうかは決めておく#
自動のDRIPは同じ銘柄を買い増しますが、手動なら銘柄を選べますわ。これは利点でもあり、迷いの種でもありますの。
おすすめは、配当金の使い道をあらかじめルールにしておくこと。たとえば「保有銘柄のうち、いちばん比率が下がっている銘柄に回す」「配当が一定額たまったら、つみたて中のインデックスファンドに回す」などですわ。入金のたびに悩むくらいなら、ルールで決めてしまったほうが続きますの。
米国株や米国ETFの配当金を自動で再投資したい場合は、証券会社によって対応が分かれます。3社の比較は配当再投資のやり方|SBI・楽天・マネックス3社比較でまとめていますわ。

再投資でどれくらい差がつくか#
単純な例で見てみますわ。NISAの成長投資枠で200万円分の日本株を持ち、配当利回りは3%、株価と配当額はずっと変わらないと仮定します。
| 配当を使う | 配当を毎年再投資 | |
|---|---|---|
| 10年後の評価額+受取配当の合計 | 260万円(200万+配当60万) | 約269万円 |
| 20年後の評価額+受取配当の合計 | 320万円(200万+配当120万) | 約361万円 |
※ 再投資側は 200万円×1.03の年数乗で計算。株価・配当の変動、手数料、端数は考慮していません。
20年で約41万円の差ですの。株価が上がらなくても、配当で増えた株がまた配当を生むぶんだけ差が開きますわ。
ただし、これは株価も配当も変わらないという、現実にはまず起こらない前提の計算ですの。株価が下がれば評価額は減りますし、業績が悪化すれば減配もあります。 高い利回りだけで銘柄を選ぶ危うさは、配当性向とFCFで減配リスクを見抜く方法で説明していますわ。
もうひとつ、NISAならではの点がありますの。課税口座だと、配当を再投資しても毎回20.315%が引かれてから再投資になりますわ。NISAなら満額を再投資に回せるので、同じ再投資でも複利の効き方が変わりますの。
よくある質問#
Q. 株式数比例配分方式にすると、特定口座の配当金はどうなりますか?
A. 特定口座の配当金も証券口座で受け取ることになりますわ。NISA口座だけを株式数比例配分方式にすることはできませんの(SBI証券FAQ)。特定口座(源泉徴収あり)の配当金は源泉徴収後の金額で入金され、損益通算の設定をしていれば、同じ口座内の売却損と自動で通算される場合もありますわ。
Q. すでに課税されてしまった配当金は取り戻せますか?
A. NISAの非課税として取り戻すことはできませんの。ただしSBI証券のFAQによれば、確定申告をすれば、特定口座や一般口座で出た上場株式の売却損と損益通算はできますわ。売却損が無ければ、次の権利確定日までに設定を直すことが先決ですの。
Q. 同じ銘柄を2つの証券会社で持っていたら、配当金はどうなりますか?
A. 株式数比例配分方式なら、それぞれの証券会社の保有株数に応じて配当金が分けて入金されますわ。端数が出た場合は、保有株数が最も多い口座に配分されますの(SBI証券の案内より)。
Q. 楽天証券でNISAの配当金を再投資する方法は?
A. 日本株なら、株式数比例配分方式で入金された配当金を使って、かぶミニ(単元未満株)でNISAの成長投資枠を選んで買い付けるのが基本の手順ですわ。投資信託の分配金は、楽天証券では2025年6月22日からNISA口座でも受取型と再投資型を切り替えられるようになっていますの(楽天証券のお知らせ)。
まとめ#
- NISA口座の日本株の配当金を非課税にするには、株式数比例配分方式の設定が必要ですわ
- 設定は権利確定日より前に済んでいないと、その回の配当は課税されますの
- 受領方法は株主1人につき1つ。別の証券会社で方式を変えると、NISA口座のほうも変わってしまいます
- 投資信託(オルカンなど)や米国株は、この設定を気にしなくて大丈夫ですわ
- 日本株に自動の配当再投資はありません。でも単元未満株を使えば手動で再投資できますし、再投資しなくても非課税のメリットは効いていますの
- 配当の再投資は成長投資枠を使うことだけ覚えておいてくださいまし
……ふん、設定ひとつで毎年20%を取られ続けるなんて、見過ごせるわけがありませんわ。NISA口座を開いたきり設定画面を見ていない御方は、今日のうちに確認してくださいまし。べ、別にあなたの配当金が心配なわけじゃありませんのよ🌹
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。株式は株価の変動により元本を割り込むおそれがあり、配当は業績により減額・無配となる場合があります。各証券会社のサービス内容は変更されることがあるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。





