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INPEXの配当利回り2.96%は買いか|112円への増配と1400億円の自社株買いで読む株主還元【2026年9月】
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INPEXの配当利回り2.96%は買いか|112円への増配と1400億円の自社株買いで読む株主還元【2026年9月】

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ローゼンマイヤー
著者
ローゼンマイヤー
AI・米国株・ETFの投資リサーチブログ。企業IR・決算資料・公的統計などの一次情報にあたり、AIインフラを支える「ツルハシ銘柄」を中心に分析しています。

「INPEX 配当」で検索する方の関心は、だいたい2つに集約されますわね。今100株買ったら年間いくらもらえるのか。 そして原油次第の会社の配当を、生活費のあてにしていいのか。

先に結論を差し上げます。INPEX(1605)の予想配当利回りは2.96%(2026年9月4日終値ベース)。かつて4%台で「日本の高配当株」の常連だった銘柄が、今は3%を切っています。それでも配当の絶対額は3期連続で増えていて、**会社が株主に返している総額で見ると純利益の約53%**に達しますの。

利回りが下がったのに還元は強まっている。この一見矛盾した状態をどう読むかが、この記事の主題ですわ。2026年9月時点の実数だけで整理してまいります。

INPEXの配当は今いくらか(2026年9月4日時点)
#

まずは事実確認から。

項目数値
株価(終値)3,780円
予想年間配当(2026年12月期)112円
予想配当利回り2.96%
PER8.6倍
PBR0.86倍
時価総額4兆7,595億円
発行済株式数12億5,913万株
決算期12月期(配当は年2回)
単元株数100株

出所:株探(2026年9月4日終値)、INPEX「株主還元・配当情報」

100株(378,000円)を買うと、年間の配当金は11,200円(税引前)。手取りにすると約8,900円ですから、月あたり約740円という規模感ですわ。

決算期が12月なので、権利確定は6月末(中間)と12月末(期末)。この点は3月決算の商社株と大きく違うところで、配当の受取月をずらしたい方にはむしろ組み合わせやすい銘柄ですの。権利付最終日は受渡日の関係で月末の2営業日前になりますが、年末は市場休業日が絡みますので、実際に狙う際は必ずご利用の証券会社の案内でご確認くださいまし。

なぜ利回りが3%を切ったのか
#

配当が減ったからではありません。株価のほうが速く上がったからですわ。

決算期売上高経常利益最終利益1株益1株配
2024年12月期(実績)22,658億円12,988億円4,273億円345.3円86円
2025年12月期(実績)20,113億円11,734億円3,938億円330.8円100円
2026年12月期(会社予想)19,730億円12,780億円5,100億円438.8円112円

出所:株探(会社予想は2026年8月7日発表の第2四半期決算時点)

配当は86円 → 100円 → 112円。2年で30.2%増えています。 それでも利回りが下がったのは、分母である株価が同じ期間にそれ以上動いたからにほかなりません。

しかも注目すべきは、2025年12月期に減益しながら増配したことですわ。最終利益は4,273億円から3,938億円へ7.8%減ったのに、配当は86円から100円へ16.3%増やしています。これは業績連動ではなく、方針として配当を下げない設計になっている証拠ですの。

ここは配当利回りの数字だけで銘柄を選ぶ危うさを考えるうえで、良い実例になりますわね。利回りが下がった銘柄を「妙味がなくなった」と切り捨てると、増配の実績ごと見落とすことになります。

INPEXの配当推移を確認するローゼ


累進配当90円という「床」の意味
#

INPEXは2025年2月公表の「2025-2027 中期経営計画」で、株主還元方針をこう定めていますわ。

2025年度から2027年度の中期経営計画期間中は、1株当たり年間90円を起点とする累進配当による安定的な還元に加え、事業環境や財務・経営状況を踏まえつつ機動的な自己株式取得も行うことで総還元性向50%以上を目指す

(出所:INPEX「株主還元・配当情報」)

累進配当とは、減配せず、維持か増配のみを行う方針のこと。ここで重要なのは「90円を起点とする」という部分ですの。つまり2027年度までは、年間90円が下限として宣言されているという意味になります。

株価3,780円で90円なら、利回りの下限は2.38%。原油が崩れても、方針が守られる限りはここまでしか落ちない計算ですわ。これは「配当が原油任せ」というイメージとは、だいぶ違う姿ではないかしら。

もっとも、累進配当は法的な義務ではなく、あくまで会社の方針表明です。中期経営計画は2027年度で切れますので、その先の方針は2028年以降に改めて示されるという点は、頭に入れておく必要がありますわね。

配当だけ見ると還元を半分見落とす
#

INPEXの株主還元を理解するうえで、配当だけを見るのは片手落ちですの。もう一方の柱が自己株式の取得ですわ。

取得期間取得株式数取得総額
2026年8月10日〜12月31日5,000万株(上限)1,400億円(上限)
2025年8月12日〜2026年1月31日3,523万株999億円
2024年8月9日〜12月31日3,975万株799億円
2024年5月15日〜12月31日2,095万株499億円
2023年8月10日〜12月29日4,776万株999億円
2022年8月9日〜12月30日7,976万株1,199億円

出所:INPEX「株主還元・配当情報」

2026年の枠は上限1,400億円。これは前年の999億円から4割増で、直近5年で最大の規模ですわ。取得上限の5,000万株は発行済株式数の**約4.0%**に相当します。

しかもINPEXは買った株を実際に消しています。2024年1月31日に1億2,753万株、2022年2月8日に7,565万株を消却済み。買い戻して金庫に置くだけでなく、消して1株あたりの価値を恒久的に引き上げているわけですの。

還元の総額を計算してみますわ。

項目金額
予想最終利益5,100億円
配当総額(112円 × 約11.6億株)約1,302億円
自己株取得(上限)1,400億円
還元合計約2,702億円
総還元性向約53%

※配当総額は予想最終利益5,100億円 ÷ 予想1株益438.8円から逆算した期中平均株式数(約11.6億株)で試算。自己株取得は上限額を用いた概算です

配当性向だけなら25.5%(112円 ÷ 438.8円)。数字だけ見れば地味ですわね。でも自己株買いを足すと53%。つまりINPEXの株主還元は、半分以上が配当以外の形で行われているということですの。

配当利回り2.96%という表示は、還元の半分しか映していません。総株主還元利回りという考え方を当てはめると、実質的な還元水準はもう一段高く見える、ということになりますわ。

自己株買いを含めた総還元を計算するローゼ


同業と並べるとどう見えるか
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エネルギー・資源セクターで横に並べてみますわ。

銘柄株価予想利回りPERPBR時価総額
INPEX(1605)3,780円2.96%8.6倍0.86倍4兆7,595億円
ENEOS(5020)1,345.5円2.53%8.6倍0.95倍3兆6,420億円
出光興産(5019)1,470.0円2.45%23.5倍1.07倍1兆7,981億円
石油資源開発(1662)1,875円2.40%7.4倍0.81倍4,819億円

出所:株探(2026年9月4日終値)

4社の中でINPEXの利回りが最も高く、PBRは0.86倍。純資産の86%の値段で買える状態が続いていますわ。

ここで見逃せないのが石油資源開発(1662)ですの。同じ資源開発でありながら、2027年3月期の予想配当は65円から45円へ減配(2026年8月6日発表)。同じセクターでも、累進配当を掲げている会社とそうでない会社では、こういう局面で差が出ますわ。

配当再投資を前提に長期で持つなら、利回りの高さより「減配しない設計になっているか」を先に見るべきだという、わかりやすい対比ではないかしら。日本の高配当株の選び方でも触れましたが、方針の有無は数字より雄弁ですの。


見落としてはいけない3つのリスク
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良い話ばかりでは片手落ちですわね。正直に申し上げます。

1. 原油価格に業績が直結する
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2026年8月から9月にかけて、INPEXの株価は中東情勢に大きく振られました。8月31日の米軍によるイラン攻撃報道でWTI原油が上昇、9月1日には株価が4,000円台を回復。しかしその後WTIが90ドル台へ下落すると株価も反落し、9月4日終値は前日比**-109円(-2.80%)**となっています。

つまり株価の日々の変動は、会社の努力ではなく地政学で決まる部分が大きいということですわ。配当は累進方針で守られていても、元本は素直に上下します。

2. 会社予想は原油・為替の前提に依存する
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2026年12月期の予想(最終益5,100億円・配当112円)は、会社が置いた原油価格と為替の前提に基づいています。前提が大きく外れれば、業績予想も修正されますの。

ただし2025年12月期に減益しながら増配した実績を見る限り、業績が振れても配当をすぐには下げない運営がなされている、とは言えますわ。

3. 自己株買いは「上限」であって確約ではない
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先ほど総還元性向53%と試算しましたが、これは自己株取得枠の上限1,400億円を使い切った場合の数字ですの。実際の取得額は市場環境次第で、上限に届かない可能性もありますわ。実際、2025年の枠も取得実績は999億円台でした。

総還元性向50%以上は「目指す」水準であって、保証された数字ではない。 ここは正確に理解しておくべき点ですの。


配当再投資で持つならどう考えるか
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以上を踏まえて、この銘柄をどう位置づけるか整理しますわ。

向いている使い方

  • 配当の受取月を6月・12月に分散させたい方(3月決算銘柄との組み合わせ)
  • 表面利回りより、増配の継続性と自己株買いを含む総還元を重視する方
  • ポートフォリオの一部としてエネルギーセクターを持ちたい方

向かない使い方

  • 今すぐ4〜5%の利回りが必要な方(この銘柄では届きません)
  • 株価の変動を抑えたい方(原油次第で日々2〜3%動きます)
  • 1銘柄に資金を集中させたい方(地政学リスクの集中になります)

配当再投資を前提にする場合、押さえるべきは**「利回り2.96%が再投資でどう効くか」ではなく、「配当が下がらない設計と、株数が減っていく効果の合計」**ですわ。自己株消却が続けば、1株あたりの利益と配当は放っておいても押し上げられます。これは配当を受け取って再投資するのと、経済的にはよく似た効果を持ちますの。

ただし、これは将来の株価上昇や配当継続を約束するものではありません。原油価格・為替の変動により、業績も配当も株価も下振れする可能性がありますわ。投資のご判断は、ご自身の資産全体のバランスを見たうえでお願いいたします。


まとめ
#

  • INPEX(1605)の予想配当利回りは2.96%、100株378,000円で年間配当11,200円(2026年9月4日終値)
  • 配当は86円 → 100円 → 112円と3期連続増配。2025年12月期は減益しながら増配している
  • 中期経営計画で年間90円を起点とする累進配当を宣言。2027年度までは減配しない方針
  • 2026年は**上限1,400億円・5,000万株(発行済の約4.0%)**の自己株買い。配当と合わせた総還元性向は約53%の試算
  • 配当性向は25.5%と低いが、還元の半分以上が自己株買いで行われている構造
  • 同業では石油資源開発が減配予想。累進配当方針の有無が局面で差になる
  • リスクは原油価格への直結、会社予想の前提依存、自己株取得が上限額の保証ではない点

利回りの数字が下がったことと、株主還元が弱くなったことは別物ですわ。表面利回りは「株価がいくらか」を映す鏡であって、「会社がいくら返しているか」の指標ではありません。 ここを分けて見られるかどうかが、高配当株投資の分かれ目になりますの。

……べ、別に御主人様の銘柄選びを心配しているわけじゃありませんわよ。ただ、数字の見方を間違えたまま買うのは、もったいないと思っただけですわ🌹

※本記事は2026年9月4日終値時点の公開情報に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・配当予想は変動します。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

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