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AIに「悪魔の代弁者」をやらせる投資プロンプト術|買う前に自分の判断を論破させる7つの型
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AIに「悪魔の代弁者」をやらせる投資プロンプト術|買う前に自分の判断を論破させる7つの型

··3469 文字·7 分
ローゼンマイヤー
著者
ローゼンマイヤー
AI・米国株・ETFの投資リサーチブログ。企業IR・決算資料・公的統計などの一次情報にあたり、AIインフラを支える「ツルハシ銘柄」を中心に分析しています。

「この銘柄、どう思う?」——AIにそう聞いて、返ってきた前向きな答えに背中を押されて買った経験、ありませんこと?

実はそれ、とても危ない使い方ですのよ。AIは会話の流れに沿って答える性質があるため、あなたが「買いたい」という前提で質問すると、買う理由を上手に並べてくれてしまいますの。つまり、確証バイアス(自分の考えを支持する情報ばかり集めてしまう癖)を増幅する装置になりかねませんのよ。

ならば逆に使えばよろしいのですわ。AIに**「悪魔の代弁者(Devil’s Advocate)」**——つまり全力で反対する役——をやらせるのですの。今日は買う前に自分の判断を論破させるプロンプトを、7つの型でご紹介しますわ 🌹

なぜAIは勝手に賛成してしまうのか
#

まず前提を押さえておきますわね。

会話型AIは、人間の評価を学習して調整されているため、ユーザーに同意する方向に寄りやすい傾向がありますの。「これ良いと思うんだけど」と聞けば良い点を、「これダメだよね」と聞けば悪い点を、それぞれ丁寧に拾い上げてくれますのよ。

つまり返ってくる答えの向きは、あなたの聞き方でほぼ決まっているのですわ。中立的な意見が欲しいのに「どう思う?」と聞くのは、質問の時点で負けていますの。

だからこそ、役割を明示的に指定する必要がありますのよ。「賛成しないで」ではなく「反対する役を演じて」と命じるのが肝ですわ。

AIに反対意見を作らせる投資プロンプト術

型1:全否定させる基本形
#

いちばん素直な型ですわ。まずはこれから始めてくださいまし。

あなたは私の投資判断に反対する立場のアナリストです。
以下の投資判断について、賛成意見は一切書かず、
反対する理由だけを5つ挙げてください。

投資判断:[例] 半導体製造装置のA社を、来年の設備投資回復を見込んで
現在の株価で買い、3年保有する

条件:
・「一方で」「ただし」といったフォローは禁止
・最も強い反論を1番目に置くこと
・各反論には「それが起きたら株価はどう動くか」を必ず添えること

ポイントは**「賛成意見は一切書かず」と「フォロー禁止」**の2つですわ。これを入れないと、AIは反論を並べたあと「とはいえ長期では魅力的です」と結局まとめてしまいますの。それでは意味がありませんわよね。

型2:あえて「空売り側のレポート」を書かせる
#

もう一歩踏み込むなら、立場そのものを変えてしまいますの。

あなたはこの銘柄を空売りしているヘッジファンドのアナリストです。
投資家向けにショートレポートの要約を書いてください。

対象:[銘柄名]
強気派が見落としている論点を中心に、
・収益構造の弱点
・競合や技術変化のリスク
・バリュエーションが正当化できなくなる条件
の3点で構成してください。

不思議なもので、「反対して」と言うよりも**「空売り側の人物になりきって」と言うほうが、鋭い論点が出てくる**ことが多いのですわ。役柄を与えると、その役の利害に沿った視点で情報を再構成してくれますのよ。

型3:「1年後に大失敗した」前提で振り返らせる
#

心理学でいう**事前検死(プレモータム)**の応用ですわ。これはとても効きますのよ。

1年後、この投資は50%の含み損になっていました。
今は1年後だと仮定して、「なぜこうなったのか」を
物語形式で振り返ってください。

もっとも可能性が高い失敗シナリオを3つ、
それぞれ「最初の兆候は何だったか」も書いてください。

「リスクを挙げて」と聞くと一般論(金利、景気、地政学)しか出てきませんの。ところが**「もう失敗した前提」で聞くと、具体的な経路が出てきますのよ。しかも「最初の兆候」を書かせておくと、それがそのまま自分用の撤退チェックリスト**になりますわ。これがいちばんの実益ですわね。


型4:自分の言い分を先に書いて、それを解体させる
#

自分の思考の穴を見つけたいときはこの型ですの。

以下は私がこの銘柄を買いたい理由です。
一つひとつについて、
(1) 事実なのか、私の推測なのか
(2) すでに株価に織り込まれている可能性はどの程度か
(3) この前提が崩れる条件は何か
を判定してください。褒めないでください。

私の買い理由:
1. [自分の言葉で書く]
2. ...

自分の買い理由を文章にする時点で、半分くらいは効果が出ますのよ。書いてみたら「なんとなく上がりそう」しか書けなかった、というのはよくある話ですわ。

そして**(2)の「織り込み済みかどうか」**が地味に重要ですの。「業績が伸びる」は事実でも、それが既に株価に入っていれば買う理由にはなりませんものね。

型5:反対意見に反論させて、二回戦をやる
#

一方的に叩かせて終わりでは不十分ですわ。議論させるのですの。

先ほどあなたが挙げた反対意見5つに対して、
今度は強気派の立場から再反論してください。
そのうえで、両者の主張を突き合わせ、
「決着がついていない論点」だけを抜き出してください。

ここで出てくる**「決着がついていない論点」こそが、あなたが本当に確認すべきポイント**ですわ。決算資料でも、業界レポートでも、その論点だけを追えばよろしいのですの。闇雲に情報を集めるより、よほど効率的ですわよ。

反対意見を突き合わせて論点を絞り込む

型6:売る判断にも同じことをする
#

見落とされがちですけれど、売るときのバイアスも同じくらい厄介ですのよ。

含み損が怖くて売りたいとき、含み益を確定したくてうずうずしているとき——そのときこそ反対尋問の出番ですわ。

私は今、この銘柄を売ろうとしています。
売却に反対する立場から、
「今売るべきではない理由」を4つ挙げてください。

そのうえで、私の売却理由が
・投資仮説が崩れたことによる合理的な判断
・単なる値動きへの感情的な反応
のどちらに近いか、率直に判定してください。

最後の「どちらに近いか判定して」が効きますの。買った理由が崩れていないのに株価が下がったから売る——これは合理的な判断ではありませんものね。

型7:AIの答えそのものを疑わせる
#

最後は、AIの回答を検算する型ですわ。

あなたが今書いた内容について、
・出典が確認できない数値や固有名詞
・断定しているが実は推測である箇所
・情報が古い可能性がある箇所
を自分で指摘してください。

AIは**もっともらしい誤情報(ハルシネーション)**を出しますの。特に決算数値、配当利回り、経費率といった数字は要注意ですわ。自己点検させておくと、どこを人間が確認すべきかが見えてきますのよ。

そして当然ながら、数字の最終確認は公式IRや証券会社アプリで行ってくださいまし。AIの出力をそのまま信じるのは、悪魔の代弁者を雇った意味がなくなりますわよ。


使うときの注意点
#

便利ですけれど、万能ではありませんわ。ここは正直に申し上げますの。

  • AIの反対意見も「それらしい文章」に過ぎませんの。 反論の中身が事実かどうかは別問題ですわ。論点のヒントとして使い、裏取りは自分でなさってくださいまし
  • 反対されたからといって、買ってはいけないわけではありませんのよ。 どんな優良銘柄にも反論は5つくらい作れますの。目的は「やめること」ではなく「リスクを言語化してから決めること」ですわ
  • やりすぎると何も買えなくなりますの。 反対尋問は、金額が大きい判断や、初めて買うセクターのときに限定するのが現実的ですわね
  • AIに最終判断をさせないこと。 決めるのは御主人様ご自身ですわ

投資判断のバイアス対策全般については投資家の行動バイアスを克服する7つのマインドセットも、AIでのリサーチ環境づくりはPerplexityとChatGPTで作る投資リサーチ環境ガイドもあわせてご覧くださいまし。

まとめ:AIは「賛成係」ではなく「反対係」で雇う
#

  • AIは聞き方に引っ張られる。「どう思う?」では賛成意見しか返ってこない
  • 役割を明示的に指定して、反対する立場を演じさせるのが基本
  • 「1年後に失敗した前提」で振り返らせると、具体的な失敗経路と撤退サインが手に入る
  • 反対意見に再反論させ、決着がつかない論点だけを自分で調べる
  • 売る判断にも同じ手順を使い、合理的判断か感情的反応かを切り分ける
  • 反対意見の内容も鵜呑みにせず、数字は必ず公式情報で裏取りする

賛成してくれる相手は探せばいくらでもいますわ。でも、買う前に本気で止めてくれる相手は、なかなかいませんのよ。……べ、別に御主人様の資産を心配しているわけじゃありませんわよ。ただ、後悔するところを見たくないだけですの 🌹

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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