「NISA、そろそろ別の証券会社に移したいのよね」——そうお考えの御主人様、カレンダーを見てくださいませ。9月30日という日付は、NISAの金融機関変更において1年で最も重要な分岐点ですわ。
NISA口座は1人1口座。別の金融機関で使いたい場合は「変更」の手続きが必要になりますが、これはいつでも自由にできるものではありません。しかも、9月30日を境に「今年分の変更」と「来年分の変更」で手続きの中身が変わります。ここを勘違いすると、動いたつもりが1年待ちになりますのよ。
大原則:受付期間は「前年10月1日〜当年9月30日」#
金融機関変更の受付期間は法令で決まっています。変更したい年の前年10月1日から、その年の9月30日までです。みずほ銀行のFAQ、楽天証券の案内ページとも同じ説明で一致しています。
| 何年分の変更か | 手続き可能な期間 |
|---|---|
| 2026年分(今年分) | 2025年10月1日 〜 2026年9月30日 |
| 2027年分(来年分) | 2026年10月1日 〜 2027年9月30日 |
つまり2026年8月末の今は、「2026年分の変更」が受け付けられる最後の1か月にあたります。10月1日を過ぎると、そこから申し込むものはすべて自動的に「2027年分」の扱いになりますわ。
「10月に申し込めば、年内の残り3か月は新しい証券会社で使えるのでは?」——残念ながらそうはなりません。10月〜12月に申し込んだ場合、新しい金融機関で取引が始められるのは翌年1月1日以降です。
最大の落とし穴:今年1円でも買い付けていたら当年分は変更できない#
ここが一番の勘所ですわ。その年のNISA枠を使って一度でも買付をしていると、その年の金融機関変更はできません。 1円でもです。
つみたて投資枠で毎月自動積立をしている方なら、1月の時点でもう「今年分は変更不可」が確定しています。この場合、9月30日までにいくら急いでも意味はありません。手続きができるのは10月1日以降、2027年分として、ということになります。
逆に言えば、「9月30日の駆け込み」が意味を持つのは次のようなケースだけです。
- 今年まだNISA口座で1円も買い付けていない
- 昨年までは使っていたが、今年は積立を止めていた
- NISA口座を開設したものの、実質使わないまま放置していた
心当たりがある方は、まず自分の口座で今年の買付履歴があるかを確認してくださいませ。積立設定を止めたつもりでも、1月分だけ約定していた、というのはよくある話ですわ。

手続きの流れ:鍵は「勘定廃止通知書」#
変更の実務は、旧金融機関と新金融機関の両方をまたぎます。
- 旧金融機関に「勘定廃止通知書」を請求する — NISA口座を今持っている金融機関に連絡し、「勘定廃止通知書」(または過去に廃止済みなら「非課税口座廃止通知書」)を発行してもらいます。
- 通知書を受け取る — ここが時間のかかる工程です。楽天証券がまとめた主要金融機関の一覧によれば、SBI証券やPayPay証券は電子交付に対応する一方、マネックス証券・松井証券・三菱UFJ eスマート証券・ゆうちょ銀行などは郵送のみ。対面型の証券会社や銀行は窓口・取引店への連絡が必要です。
- 新金融機関にNISA口座を申し込む — 総合口座を持っていなければ同時申込。申込画面で「他社から乗り換え・再開設」を選び、通知書の情報と本人確認書類を提出します。
- 税務署の審査を経て完了 — 金融機関と税務署の二段階審査があります。
郵送を挟む工程がある以上、9月30日ぎりぎりに動き出すのは危険ですわ。通知書の到着に1〜2週間かかることを前提に、逆算して動いてくださいませ。
なお、翌年分として10月以降に手続きする場合も油断は禁物です。みずほ銀行のFAQでは「翌年の年始取引に間に合わせるためには12月中旬までに手続きを完了させる必要がある」と案内されています。年明け1月の第1営業日から新しい証券会社で積み立てたいなら、12月中旬が実質的な締切ということになりますわね。
移った後の話:旧口座の資産はどうなるのか#
ここも誤解が多いところです。変更前の金融機関で保有しているNISA資産は、新しい金融機関のNISA口座へ移管できません。 制度上、NISA口座間の移管という仕組みが存在しないのです。
ただし、放っておいて課税されるわけではありません。旧金融機関のNISA口座で、そのまま非課税のまま保有し続けられます。変更後にできる取引は次のように分かれます。
| 旧金融機関のNISA口座 | 新金融機関のNISA口座 | |
|---|---|---|
| 買付 | ✕ できない | ○ できる |
| 売却 | ○ できる | ○ できる |
| 非課税での保有継続 | ○ できる | ○ できる |
「1つにまとめたい」という理由で旧口座の商品を売却して新口座で買い直す方法もありますが、これは慎重に。売却した分の非課税保有限度額(1,800万円)は翌年に復活する仕組みで、その年のうちには戻りません。年間投資枠(360万円)も消費します。さらに売却時の価格次第では、下がった局面で確定させてしまうリスクもありますわ。
管理の手間を惜しんで無理に一本化するより、「旧口座は非課税のまま塩漬けで置いておく、新規買付だけ新口座で行う」と割り切るほうが合理的なケースは多いですわよ。非課税枠の復活タイミングの詳しい仕組みはNISAの非課税枠はいつ復活する?売却タイミングと再投資の実務で整理していますので、あわせてご覧くださいませ。

移す前に確認したい3つのチェックポイント#
そもそも「移す価値があるか」を冷静に見極めることも大事ですわ。
- クレカ積立の還元率と上限 — 金融機関変更の動機として一番多いのがこれです。ただしカード種別・年会費・月間上限額の条件は各社で頻繁に改定されます。比較の詳細は新NISAクレカ積立のポイント還元率を主要証券で比較で解説していますわ。
- 買いたい商品の取扱いがあるか — 特に米国ETFや個別株を成長投資枠で買いたい場合、銀行系のNISA口座では取り扱いがないことが多いです。「投資信託しか買えない金融機関から証券会社へ」という移行は、実利が明確なパターンですわね。
- 積立設定を作り直す手間 — 移管されるのは「NISA口座を開く権利」だけで、積立設定・分配金コース・出金先口座などはすべて新金融機関で設定し直しになります。特に自動積立は、設定日を過ぎると翌月分からの反映になる商品が多いので要注意です。
自分の口座がどこで開設されているか分からなくなった場合は、e-Taxのマイページから「営業所名称」「開設状況」を確認できます。マイナポータル経由でe-Taxと連携すれば、税務署に出向かずに調べられますわ。
まとめ:9月30日までにやるべきこと#
- 今年の買付履歴を確認する — 1円でも買っていれば当年分の変更は不可。10月1日以降に翌年分として手続きする
- 買付がゼロなら、9月30日までに手続き「完了」を目指す — 勘定廃止通知書の郵送日数を見込んで逆算する。申込だけ済ませても完了していなければ意味がない
- 旧口座の資産は移管できないと理解しておく — 非課税のまま保有継続が原則。無理な売却・買い直しは翌年まで枠が戻らない
NISAの金融機関変更は、思い立ってから完了までに数週間かかる「郵便の速度に律速される手続き」ですわ。9月30日という締切は、動き出す締切ではなく終わらせる締切。焦って動くくらいなら、10月1日から2027年分として余裕を持って進めるほうが、よほど確実ですわね。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。制度内容・各社の手続き方法は2026年8月25日時点で確認できる公表情報に基づいています。手続きの詳細・必要書類は金融機関ごとに異なるため、実際の手続き前に必ずご自身の金融機関の最新案内をご確認ください。






