「GLDとGLDM、名前が似すぎでしょう。何が違いますの?」——ええ、そう思うのが普通ですわ。どちらもState Street(ステート・ストリート)が運用する金ETFで、同じ金を、同じロンドンの金庫に、同じように保管しています。中身は本当に、ほぼ同じ。
にもかかわらず、この2本は経費率が4倍違います。そして日本の証券会社では、片方だけが買付手数料無料ですの。
本記事では、GLD・GLDM・IAUという主要3本の金ETFについて、2026年8月時点の実測値で違いを整理します。ネット上に大量に転がっている「IAUは1口が安いから初心者向け」という説明が、なぜもう5年前に賞味期限切れになっているのかも含めて、遠慮なく書きますわよ。
本記事の数値はすべて2026年8月26〜27日時点の一次情報(運用会社の公式ページ、日本取引所グループの銘柄一覧、証券会社の公式ページ)にもとづきます。金スポット価格は1トロイオンス=4,616.20ドル、為替は1ドル=159.42円で換算していますわ。
結論:3本の違いは「1口の大きさ」ではなく「コストと手数料無料枠」#
先に答えを置いておきます。長いので、ここだけ読んで帰っても構いませんわ。
| こういう人 | 選ぶべき | 理由 |
|---|---|---|
| 日本の証券会社から長期で積み立てる | GLDM | 経費率0.10%が最安。SBI・楽天ともに買付手数料無料の対象 |
| すでにIAUを持っている | そのままIAUでも可 | 0.25%は許容範囲。乗り換えの譲渡益課税のほうが高くつく場合がある |
| オプション取引や大口の機関投資家 | GLD | 売買代金が桁違い。オプション市場も厚い |
| 円建てで完結させたい | 東証の314A・425A・447A | 経費率0.17〜0.20%。為替手数料も確定申告の外国税額控除も不要 |
個人投資家が米国ETFで金を買うなら、2026年8月時点での答えはGLDMですわ。 GLDを選ぶ積極的な理由は、よほどの大口かオプションを使う人でない限り、ありません。
GLDとGLDMの違い ── 同じState Streetがなぜ2本出しているのか#
まずここを潰しますわ。多くの記事が「3本並べて比較」で終わらせているせいで、同じ運用会社が2本出している理由が説明されていませんの。
生まれた順番と目的がまったく違う#
GLD(SPDR Gold Shares)は2004年11月18日上場。世界初の本格的な金ETFで、当時「金を証券口座で買える」こと自体が革命でしたわ。狙っていたのは機関投資家とトレーダー。経費率0.40%は、2004年の水準では十分に安かったのです。
GLDM(SPDR Gold MiniShares Trust)は2018年6月25日上場。こちらは完全に個人投資家の長期保有向けとして、後から設計された商品です。GLDの経費率0.40%が「積立には高すぎる」と競合に攻められた結果、State Streetが出した回答がGLDMでしたの。
つまり、GLDMはGLDの廉価版ではなく、別の顧客に向けた別の商品。だからState Streetは、GLDの経費率を下げてGLDMと統一する気がありません。GLDには「世界最大・最も流動性の高い金ETF」というブランドと、それを必要とする顧客がいるからですわ。
なぜGLDの経費率は下がらないのか#
GLDは純資産1,556億ドル(2026年8月26日時点、State Street公式)。経費率0.40%ということは、年間で約6.2億ドル(約990億円)の収入源です。これを0.10%に下げれば収入は4分の1になります。
一方GLDMの純資産は329億ドル。0.10%で年間約3,300万ドル(約53億円)。金額としてはGLDの約19分の1にすぎませんわ。
State Streetから見れば、コストに敏感な個人はGLDMへ、ブランドと流動性を買う機関はGLDへという住み分けが成立している。だからGLDの0.40%は当面下がらないと見るのが妥当ですの。ふん、商売としては実に賢いやり方ですこと。
保管銀行だけは違う(が、実質的な差はない)#
「中身は同じ」と書きましたが、正確には保管を委託している銀行が違います。
- GLD:HSBC銀行(ロンドン)
- GLDM:ICBCスタンダード銀行(ロンドン)
- IAU:JPモルガン・チェース銀行ほか(ロンドン・トロントなど複数拠点)
いずれもLBMA(ロンドン地金市場協会)認定のグッドデリバリー・バーで現物を保管し、独立した第三者による保有金の実地監査を受けていますわ。受託銀行が破綻しても、保管されている金は信託の財産として分別管理されており、銀行の債権者に持っていかれることはありません。
「安いほうは何かリスクがあるのでは」と疑う必要はありませんの。違うのは、あなたが払う手数料だけですわ。
【2026年8月実測】GLD・GLDM・IAUを数字で並べる#
| 項目 | GLD | GLDM | IAU |
|---|---|---|---|
| 運用会社 | State Street | State Street | BlackRock(iShares) |
| 上場日 | 2004/11/18 | 2018/6/25 | 2005/1/21 |
| 経費率(年) | 0.40% | 0.10% | 0.25% |
| 純資産総額 | 1,556億ドル | 329億ドル | 683億ドル |
| 株価(8/27終値) | 422.56ドル | 91.16ドル | 86.61ドル |
| 円換算(1ドル159.42円) | 約67,400円 | 約14,500円 | 約13,800円 |
| 1口あたりの金 | 約0.0915oz | 約0.0198oz | 約0.0188oz |
| 1日の平均売買代金 | 約29.6億ドル | 約3.6億ドル | 約3.6億ドル |
| 分配金 | なし | なし | なし |
※純資産はGLD・GLDMがState Street公式(2026年8月26日時点)、IAUは公開データベース(8月27日時点)。1口あたりの金の量は「株価÷金スポット価格4,616.20ドル」で逆算した概算です。売買代金は平均出来高×株価で算出しました。
この表を眺めていただくと、よく見る記事との食い違いに気づくはずですわ。GLDMのほうがIAUより1口が高いのです。そしてGLDMとIAUの売買代金がほぼ同じ。この2点、ほとんどの解説記事が古いままになっていますの。
「IAUは1口が安いから初心者向け」は2021年で終わった話#
ネット上の金ETF記事を読むと、判で押したように「IAUはGLDの約9分の1の価格なので少額から買える」と書いてあります。これは事実ではありません。
2本とも1対2の逆分割を済ませている#
- IAU:2021年5月24日に**1対2の株式併合(逆分割)**を実施
- GLDM:2022年2月23日に**1対2の株式併合(逆分割)**を実施
どちらも「1口の価格が安すぎると、取引所の最小刻み(ティックサイズ)に対して価格が粗くなり、実質的なスプレッドコストが上がる」という理由で、あえて1口を大きくしたのですわ。
結果、2026年8月27日時点の1口価格はこうなっています。
- GLD:422.56ドル(約67,400円)
- GLDM:91.16ドル(約14,500円)
- IAU:86.61ドル(約13,800円)
GLDに対する比率は、IAUが約5分の1、GLDMが約4.6分の1。「9分の1」という数字は、逆分割前の2021年以前の話ですの。
実務上、GLDMとIAUの「買いやすさ」に差はない#
1口14,500円と13,800円。その差は700円ですわ。この差を理由にIAUを選ぶ意味は、正直まったくありません。
しかも米国ETFは1口単位でしか買えませんから、「毎月3万円を金に」と決めたなら、GLDMなら2口(約29,000円)、IAUなら2口(約27,600円)。端数の使い残しも数百円レベルで、どちらも同じですの。
「1口の安さ」でIAUを選ぶ理由は、2026年時点で消滅しています。 残る判断軸はコストと手数料だけ。そしてその両方でGLDMが勝ちますわ。
経費率0.30%の差は30年でいくらになるか#
「0.40%も0.10%も、たかが0.3%でしょう」——そう思った御方こそ、この節を読んでくださいまし。
100万円を30年放置した場合#
金の年率リターンを仮に7%と置いて、経費率だけを変えて比較しますわ(あくまで比較のための仮定であって、金が年7%上がると保証するものではございません)。
| 銘柄 | 経費率 | 30年後の評価額 |
|---|---|---|
| GLDM | 0.10% | 740万円 |
| IAU | 0.25% | 710万円 |
| GLD | 0.40% | 680万円 |
GLDMとGLDの差は約60万円。当初元本と同じくらいの金額が、手数料の差だけで開いてしまうのですわ。
500万円を投じた場合、この差は約299万円まで膨らみます。「たかが0.3%」の正体は、これですわ。
金は配当を生まない資産なので、この経費率は確実にマイナスとして効き続けます。株式ETFなら配当が経費率を上回ることもありますが、金ETFにその救済はありません。信託報酬が複利で資産を削る仕組みについては、信託報酬0.1%の差が30年で数十万円を溶かす仕組みで詳しく解説していますわ。
経費率はどうやって払っているのか#
金ETFの経費率は、口座から引き落とされるわけではありません。信託が保有する金そのものを、少しずつ売って支払っています。
つまり時間が経つほど、1口あたりが裏付ける金の量は減っていくのですわ。GLDの1口あたりの金は上場時0.1000オンスでしたが、2026年8月時点では約0.0915オンス。21年半で約8.5%の金が手数料として溶けた計算になりますの。
GLDMを30年持つと、同じ計算で減るのは約3%。ここが0.40%と0.10%の実体ですわ。
流動性は「純資産」ではなく「1日の売買代金」で見る#
多くの記事が「GLDは流動性◎、GLDMは△」と書いていますが、これは純資産の大小をそのまま流動性の記号に置き換えているだけで、個人投資家にとって意味のある比較ではありません。
実際に見るべきは1日にいくら取引されているかですわ。
| 銘柄 | 平均出来高 | 1日の売買代金 |
|---|---|---|
| GLD | 約699万株 | 約29.6億ドル |
| IAU | 約413万株 | 約3.6億ドル |
| GLDM | 約390万株 | 約3.6億ドル |
GLDが桁違いなのは事実です。しかしIAUとGLDMは、売買代金がほぼ同水準ですの。純資産はIAUがGLDMの2倍以上あるのに、日々の取引額は同じ。つまりGLDMのほうが回転が速く、実需のある板が立っているということですわ。
1日3.6億ドル(約570億円)というのは、個人が数十万円〜数百万円を売買するのに何の支障もない厚みです。「GLDMは流動性が低いから不安」という心配は、個人投資家には無用ですの。
流動性が本当に効くのは、数千万ドル単位を一度に動かす機関投資家か、オプションを組む人。この2つに当てはまらないなら、GLDの流動性に0.30%の追加コストを払う価値はありませんわ。
日本の証券会社では、GLDMだけが買付手数料無料#
ここが本記事でいちばんお伝えしたい実務の話ですわ。海外の比較記事には絶対に書いていない、日本固有の事情ですの。
SBI証券:買付手数料無料10銘柄のうち、金はGLDMだけ#
SBI証券の「SBI ETFセレクション」は、買付手数料が完全無料になる米国ETFのリストです。対象は以下の10銘柄。
VT/VTI/VOO/QQQ/SPYD/VGT/EPI/AGG/GLDM/IYR
GLDは対象外。IAUも対象外。 金ETFで無料になるのはGLDMだけですの。
楽天証券:買付手数料無料15銘柄のうち、金はGLDMだけ#
楽天証券の買付手数料無料 海外ETFは15銘柄。
QQQ/SPYD/VGT/EPI/AGG/IYR/VT/VOO/VTI/SPY/RWR/GLDM/AIQ/FINX/GNOM
こちらもGLDとIAUは入っていません。
この差は積立で効いてくる#
米国ETFの売買手数料は、一般に約定代金の0.495%(税込)、上限22ドル程度。毎月3万円ずつ積み立てるなら1回あたり約148円です。年間で約1,780円、10年で約1.8万円。
金額としては経費率ほどではありませんが、**「無料の選択肢があるのに、わざわざ有料の銘柄を選ぶ理由があるか」**という話ですわ。経費率も安く、手数料も無料。GLDMを選ばない理由を探すほうが難しいですの。
なお、両社ともNISA口座であれば米国ETFの売買手数料は無料になります。NISA口座で買う場合、この差は消えますわ。
証券会社そのものの選び方はSBI証券と楽天証券のNISA比較にまとめてあります。
NISA成長投資枠で金ETFは買えるのか#
結論から言えば、買えます。ただし枠の種類には注意が必要ですわ。
米国上場の金ETF(GLD・GLDM・IAU)#
成長投資枠の対象です。つみたて投資枠では買えません。
つみたて投資枠の対象は、金融庁が指定した投資信託とETFに限られており、外国上場ETFは入っていませんの。金は「毎月コツコツ」のイメージに合う資産ですが、制度上はつみたて枠を使えない点にご注意くださいまし。
なお、実際に買えるかどうかは各証券会社がNISA取扱銘柄に指定しているかによります。購入画面で「NISA(成長投資枠)」が選択できるかを確認するのが確実ですわ。
東証上場の金ETF#
こちらも成長投資枠の対象です。日本取引所グループが公表している一覧では、1540(純金上場信託)と1326(SPDRゴールド・シェア)が2024年1月4日から対象として掲載されています。
また、一般社団法人資産運用業協会が公表する成長投資枠対象商品一覧には、1328・314A・424A・425A・447A・448Aが掲載されていますわ。つまり東証の金ETFは、現物型・先物型・為替ヘッジの有無を問わず、ひととおり成長投資枠で買えるということですの。
NISA成長投資枠の使い方全般は新NISA成長投資枠 完全ガイドをご覧くださいまし。
円建てで買うなら ── 東証の金ETFは米国ETFより安くなった#
ここ2年で状況が大きく変わった領域ですわ。2025年に新しい金ETFが4本も東証に上場し、経費率が一気に下がりました。
日本取引所グループが公表している銘柄一覧(信託報酬)から、東証の金ETFを整理します。
| コード | 銘柄名 | 運用会社 | 信託報酬 | 型 |
|---|---|---|---|---|
| 425A | グローバルX ゴールド ETF | Global X Japan | 0.1775%程度 | 海外現物型ETF経由(ヘッジなし) |
| 424A | グローバルX ゴールド ETF(為替ヘッジあり) | Global X Japan | 0.1775%程度 | 海外現物型ETF経由(ヘッジあり) |
| 447A | ステート・ストリート・スパイダー ゴールド ETF(ヘッジなし) | State Street | 0.17%程度 | 現物型 |
| 448A | 同(為替ヘッジあり) | State Street | 0.17%程度 | 現物型 |
| 314A | iシェアーズ ゴールド ETF | ブラックロック・ジャパン | 0.20% | 現物型 |
| 1326 | SPDR®ゴールド・シェア 受益証券 | World Gold Trust Services | 0.4%程度 | 現物型 |
| 1540 | 純金上場信託(現物国内保管型) | 三菱UFJ信託銀行 | 0.4% | 現物型(国内保管) |
| 1672 | WisdomTree 金上場投資信託 | WisdomTree | 0.39% | 現物型 |
| 1328 | NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 | 野村アセットマネジメント | 0.16%以内 | 先物型 |
何が起きたのか#
2025年1月に314A(0.20%)、2025年9月に424A・425A(0.1775%程度)、2025年11月に447A・448A(0.17%程度)が相次いで上場しました。古参の1326・1540(0.4%)を、新顔が半分以下のコストで抜き去ったわけですの。
ただし424A・425Aは、金を直接保有するのではなく海外の現物型ETF(Global X Gold Bullion ETF)を通じて保有する仕組みです。表に載っている信託報酬0.1775%程度のほかに、投資先ETFの費用が実質コストとして乗る可能性がありますわ。買う前に交付目論見書の「実質的な負担」の欄を確認してくださいまし。
これによって、円建ての選択肢がGLDM(0.10%)に相当近づきました。0.10%対0.17%の差は年間0.07%。100万円あたり年700円ですわ。
円建てのメリットを差し引くとどうなるか#
米国ETFを買うには、円をドルに替える必要があります。SBI証券・楽天証券の為替手数料は片道25銭前後(キャンペーンで無料の場合あり)。往復で0.3%前後の負担になることもありますわ。
さらに米国ETFには、確定申告の手間という見えないコストがあります。金ETFは分配金がないので外国税額控除の出番はありませんが、売却益が出た年は、特定口座(源泉徴収あり)でなければ申告が必要ですの。
まとめると、こうなりますわ。
- すでにドルを持っている/米国株も買う人 → GLDM(0.10%)が最安
- 円で完結させたい/新規に円をドルに替える人 → 447A(0.17%程度)や425A(0.1775%程度)が実質的に有利になり得る
- 為替リスクを取りたくない人 → 448A・424A(為替ヘッジあり)。ただしヘッジコスト(日米金利差)が別途かかる点に注意
「金は買いたいが円安が怖い」という御方は、米国株の為替リスクとヘッジ戦略もあわせてどうぞ。
1328(先物型)だけは性格が違う#
1328は現物の金ではなく金先物に投資する商品ですわ。信託報酬0.16%以内と安く見えますが、先物にはロールオーバーコスト(期近から期先へ乗り換える際の価格差)が別途発生します。長期保有では、この見えないコストが信託報酬を上回ることも珍しくありませんの。
「安いから」で選ぶと痛い目を見る典型ですわ。長期保有なら現物型を選んでくださいまし。
税金と確定申告 ── 金ETFは金地金より有利#
日本の税制では、金ETFと金地金(現物)で課税方式がまったく違います。ここを知らずに現物を買う方が多いので、整理しておきますわ。
金ETF:申告分離課税20.315%#
金ETF(米国上場・東証上場を問わず)の売却益は、上場株式等の譲渡所得として申告分離課税20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですの。
メリットは3つ。
- 他の株式・ETFの損失と損益通算できる
- 損失を3年間繰り越せる(繰越控除)
- NISA口座なら非課税
金地金(現物):総合課税の譲渡所得#
一方、金地金を売った利益は総合課税の譲渡所得。給与所得などと合算されるため、高所得者ほど税率が上がりますわ(最高で所得税45%+住民税10%)。
ただし年間50万円の特別控除があり、保有5年超なら課税対象が半分になる長期譲渡の優遇もあります。少額で長く持つなら現物、まとまった額なら金ETFという使い分けになりますの。
米国ETF特有の注意点#
「米国では金ETFがコレクティブル(収集品)扱いで最大28%課税」という話を目にすることがありますが、これは米国居住者に適用される話で、日本の居住者には関係ありません。日本の税制では通常の上場株式等として20.315%ですわ。惑わされないでくださいまし。
損益通算・繰越控除の具体的な使い方はNISAの損益通算・繰越控除の盲点にまとめてあります。
金ETF vs 金現物 vs 金鉱株 ── どれを選ぶべきか#
金現物(地金・コイン)#
- メリット:カウンターパーティリスクがない。手元に置ける安心感。年50万円の特別控除と長期譲渡の優遇
- デメリット:業者の売値と買値のスプレッド(1グラムあたり数十円〜)に加え、小口のバーやコインではバーチャージが上乗せされる。保管コスト・盗難リスク。売買に手間
- なお購入時に払う消費税は、売却時に受け取る売却代金にも消費税が含まれるため、原則として往復では相殺されますわ(消費税率が変わらない限り)
金ETF#
- メリット:証券口座で数万円から売買可能。保管不要。NISA対応。損益通算可能
- デメリット:経費率が毎年かかる。信託の仕組み上、理論的には運用会社の破綻リスクがゼロではない(現物は分別管理されているため実質的には極小)
金鉱株(GDX・GDXJなど)#
- メリット:金価格上昇時にレバレッジが効くことがある。配当を出す銘柄もある
- デメリット:金そのものではなく企業の株。人件費・エネルギーコスト・鉱山事故・産出国の政治リスクを丸ごと抱え込む。金価格が上がっても株価が下がる年がある
「ポートフォリオの保険」として金を持つなら、金鉱株は不適切ですわ。 保険が株式市場と一緒に暴落しては意味がありません。素直に現物型の金ETFを選んでくださいまし。
貴金属全体での分散を考えるなら銀ETF(SLV・SIVR・PSLV)比較、コモディティ全般ならコモディティETF完全ガイド(DBC・PDBC・GSG)もご参照ください。
ポートフォリオへの組み入れ方#
比率の目安は5〜10%#
金の組み入れ比率について、実務家の間でおおむね合意があるのは**5〜10%**という水準ですわ。
- 5%未満:分散効果としては誤差の範囲。持っている意味が薄い
- 5〜10%:株式との低相関による分散効果を得つつ、成長資産のリターンを大きく損なわない
- 10〜20%:インフレ・通貨不安を強く警戒する場合。相応にリターンを犠牲にする覚悟が要る
- 20%超:配当も利子も生まない資産に資産の5分の1以上を寝かせることになる。積極的な理由が必要
組み入れ例#
積極成長型(30代)
- 米国株インデックス 70%/新興国株 15%/金ETF(GLDM)5%/現金 10%
バランス型(40〜50代)
- 米国株インデックス 50%/債券 30%/金ETF(GLDM または 447A)10%/REIT 10%
リバランスのほうが比率より大事#
比率を何%にするかより、決めた比率を維持し続けるほうが遥かに重要ですわ。金が急騰して15%になったら5%分を売り、株が暴落して3%になったら買い増す。この機械的な作業こそが、金を持つ意味を実際のリターンに変えますの。
「金が上がっているから買い増す」は、金の使い方として最悪です。それは分散ではなく、ただの順張りですわ。
資産配分の設計全体についてはアセットアロケーション完全ガイドをどうぞ。
2026年8月の金市場 ── 実測値で見る現在地#
2026年8月27日時点の金スポット価格は1トロイオンス4,616.20ドル。
- 年初来:+35.08%
- 過去1年:+35.95%
- 過去1ヶ月:+13.29%
直近1ヶ月で13%超という、かなり荒い上げ方をしていますわ。
上昇を支えている要因#
- 米連邦準備制度(FRB)の金融政策をめぐる不透明感
- ドル安基調
- 各国中央銀行による金準備の積み増し継続
- 地政学リスクとデドル化の流れ
警戒すべき要因#
- 1ヶ月で13%上げた直後という水準感。短期の過熱は否定しがたい
- 米実質金利が上昇に転じれば、金は売られやすい
- ビットコインなど「デジタルゴールド」との資金の奪い合い
ここで一括で全額を突っ込むのは、正直おすすめしませんわ。 金は保険であって、値上がりを追いかける資産ではありません。積立で時間分散するか、目標比率まで数回に分けて買うのが妥当ですの。
「今が高値かどうか」を当てようとするより、ポートフォリオの何%を金にするかを先に決めるほうが、はるかに再現性がありましてよ。
よくある質問#
Q. GLDとGLDM、結局どちらを買えばいいですの?#
個人の長期保有ならGLDMです。経費率が4分の1で、SBI・楽天ともに買付手数料無料。中身の安全性は同一です。GLDを選ぶのは、オプションを使うか、数千万ドル単位を一度に動かす場合に限られますわ。
Q. GLDMとIAU、どちらが少額から買えますの?#
ほぼ同じです。2026年8月27日時点でGLDMが約14,500円、IAUが約13,800円。その差700円。「IAUのほうが安い」という説明は、2021年の逆分割前の情報ですわ。
Q. すでにIAUを持っています。GLDMに乗り換えるべき?#
含み益の大きさ次第ですわ。売却すれば譲渡益に20.315%の課税が発生します。経費率の差は年0.15%(100万円あたり年1,500円)。含み益が大きいなら、乗り換えコストを回収するのに何年もかかりますの。新規の買付分だけGLDMに切り替えるのが現実的な落としどころです。
Q. 金ETFは分配金が出ますの?#
出ません。GLD・GLDM・IAUのいずれも分配金はありませんわ。金は現金を生まない資産なので、リターンは価格上昇のみ。経費率は保有する金を売って支払われています。
Q. NISAのつみたて投資枠で金ETFは買えますの?#
買えません。米国上場ETFも東証の金ETFも、つみたて投資枠の対象外ですわ。成長投資枠を使ってくださいまし。
Q. 東証の金ETFと米国ETF、どちらが得ですの?#
為替手数料を含めた総コストで判断してくださいまし。経費率だけならGLDM(0.10%)が最安ですが、円をドルに替える手数料(往復0.3%前後)を毎回払うなら、447A(0.17%程度)や425A(0.1775%程度)のほうが実質有利になり得ます。すでにドル資産を運用している方はGLDM、円で完結させたい方は東証、が目安ですわ。
Q. 金価格が最高値圏ですが、今から買っても大丈夫?#
一括ではなく分割で、としか申し上げられませんわ。金は保険であって、タイミングを当てる資産ではありません。目標比率を先に決め、数ヶ月かけて積み上げるのが無難ですの。
まとめ#
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| GLDとGLDMの違い | 中身は同じ。経費率が0.40%対0.10%で4倍違う。狙う顧客層が違うだけ |
| 「IAUは1口が安い」 | 2021年の逆分割で解消済み。今はGLDM 約14,500円、IAU 約13,800円でほぼ同じ |
| コスト差の重み | 100万円・30年でGLDMとGLDに約60万円の差 |
| 流動性 | GLDMとIAUの1日の売買代金はほぼ同額(約3.6億ドル)。個人には十分 |
| 日本の証券会社 | SBI・楽天ともに、金ETFで買付手数料無料なのはGLDMだけ |
| NISA | 成長投資枠は可、つみたて投資枠は不可 |
| 円建ての選択肢 | 2025年上場の447A(0.17%程度)・425A(0.1775%程度)・314A(0.20%)が有力に |
| 税制 | 金ETFは申告分離課税20.315%+損益通算可。金地金は総合課税 |
| 組み入れ比率 | 5〜10%。比率よりリバランスの継続が重要 |
金ETFは退屈な資産ですわ。配当も出ないし、決算で盛り上がることもない。
でも、その退屈さこそが仕事なのですの。株式が崩れる局面で、ポートフォリオの片隅で静かに値を保つ——それだけのために持つ資産です。だからこそ、余計な手数料を払う理由がどこにもありません。
同じ金を、同じ金庫で、同じように保管しているのに、年0.40%払うか0.10%で済ませるか。選ぶのは御主人様ですけれど、わたくしなら迷いませんわ。






