「iDeCoの受け取り方、結局どれが一番お得なの?」——この問いに、先に答えを出してしまいますわ 🌹
一番お得な受け取り方は、人によって違います。ただし決め手はたった2つですの。
- 会社の退職金(企業年金の一時金を含む)があるか、いくらか
- 60〜64歳のあいだ、給与などの収入があるか
この2つがわかれば、一時金・年金・併用のどれが有利かはほぼ決まりますわ。この記事では、まず判定表で結論を出し、そのあと税額の試算と、2026年1月から変わった「10年ルール」、手続きの落とし穴を順に見ていきますの。
iDeCoの基本や掛金の節税効果からおさらいしたい方は30代からのiDeCo完全ガイドを、2027年1月からの掛金上限の引き上げはiDeCo掛金上限が2027年1月から激変もあわせてどうぞ。
結論:一番お得な受け取り方の判定表#
| あなたの状況 | 一番お得になりやすい受け取り方 | 理由 |
|---|---|---|
| 退職金なし(自営業・フリーランス・退職金制度のない会社) | 一時金(控除を超えるなら併用) | 退職所得控除を丸ごとiDeCoに使える |
| 退職金が少なく、退職所得控除に余りがある | 併用(余りの分だけ一時金、残りは年金) | 控除の余り=非課税で受け取れる枠 |
| 退職金が多く、退職所得控除を使い切る | 年金(60〜64歳に受け取りを寄せる) | 一時金にすると退職金と合算され課税される |
| 60〜64歳は無収入・低収入 | 年金を60〜64歳に集中 | 65歳未満でも公的年金等控除(最低60万円)が使える |
| 60〜64歳も給与が多い(再雇用・役員など) | 一時金寄り | 年金にすると給与と合算され税率が上がる |
迷ったら、**「退職所得控除の枠まで一時金、はみ出した分を年金」**が基本形ですわ。以下、なぜそうなるのかを税金の仕組みから説明しますの。
iDeCoの受け取り方は3種類|いつから・いつまでに#
iDeCoの老齢給付金は、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)の定めどおり、原則60歳から75歳になるまでの間に受け取りを始めますの。
| 受け取り方 | 税制上の扱い | 使える控除 | 受け取り期間 |
|---|---|---|---|
| 一時金(一括) | 退職所得 | 退職所得控除 | 1回 |
| 年金(分割) | 雑所得(公的年金等) | 公的年金等控除 | 5年以上20年以下(運営管理機関によっては終身年金も) |
| 併用 | 上記の組み合わせ | 両方 | 一部を一時金+残りを年金 |
注意点が2つありますわ。
- 60歳から受け取れるのは、通算加入者等期間が10年以上ある人だけ。8年以上10年未満なら61歳、6年以上なら62歳……と繰り下がり、1か月以上2年未満だと65歳からになりますの
- 自動では振り込まれません。受給できる年齢になると記録関連運営管理機関(多くはJIS&T社)から書類が届くので、自分で裁定請求をしますの。75歳までに請求しないと、年金資産は法務局に供託されますわ
一時金で受け取る場合:退職所得控除の計算#
一時金は「退職所得」として扱われ、国税庁 No.1420の退職所得控除が使えますの。iDeCoの場合は掛金を払っていた期間(加入年数)を勤続年数とみなしますわ。
| 加入年数(A) | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × A(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(A − 20年) |
1年未満の端数は1年に切り上げますの。たとえば加入25年なら 800万円+70万円×5年=1,150万円 まで非課税ですわ。
控除を超えた部分も、(受取額 − 退職所得控除額)× 1/2 にしか課税されません。しかも他の所得と分けて計算する分離課税なので、税率が上がりにくいのが一時金の強みですの。さらに退職所得は国民健康保険料・介護保険料の計算に入りませんわ。
ただし最大の落とし穴は、会社の退職金と同じ年に受け取ると、退職所得控除は合算で1回分しか使えないこと。退職金で控除を使い切っていれば、iDeCoの一時金にはそのまま課税されますの。
掛金を止めて運用指図者になっていた期間は、この加入年数に数えられませんわ。詳しくはiDeCoの運用指図者とは|掛金を止めると退職所得控除が増えない理由にまとめましたの。
年金で受け取る場合:公的年金等控除の計算#
年金で受け取ると「雑所得(公的年金等)」になり、国税庁 No.1600の公的年金等控除が使えますの。ポイントは、iDeCoの年金は国民年金・厚生年金と合算して控除を計算することですわ。
公的年金等以外の所得が1,000万円以下の場合の目安:
| 年齢 | 公的年金等の収入合計 | 控除額 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 |
| 65歳未満 | 130万円超〜410万円以下 | 収入×25%+27.5万円 |
| 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 |
| 65歳以上 | 330万円超〜410万円以下 | 収入×25%+27.5万円 |
65歳以上になると公的年金だけで110万円の控除を使い切ってしまう方が多いので、iDeCoの年金を65歳以降に受け取ると、ほぼそのまま課税対象に上乗せされますわ。
逆に、公的年金がまだ始まっていない60〜64歳なら、iDeCoの年金だけで控除枠を使えますの。ここが「60〜64歳に年金受け取りを寄せる」戦略の根拠ですわ。
年金受け取りの弱点も押さえておきましょう。
- 雑所得が増えるので、住民税・国民健康保険料・介護保険料が上がることがある
- **振込1回ごとに給付事務手数料440円(税込・信託銀行分)**がかかる。年12回×20年なら約10万円ですわ(楽天証券・松井証券で各社共通と明記)
- 受け取り中も口座管理手数料がかかり続ける
回数は年1回・2回・4回などから選べる運営管理機関が多いので、受け取り回数は少なめに設定するのが手数料の節約になりますわ。
【試算】どれが一番お得か、2つのケースで比べる#
税額は所得税(復興特別所得税込み)+住民税10%で計算した目安ですの。運用益は考えず、他の所得控除も単純化していますわ。
ケース1:退職金なし・iDeCo加入25年・残高1,500万円#
| 受け取り方 | 税金の目安 |
|---|---|
| 全額一時金 | 退職所得=(1,500万−1,150万)×1/2=175万円 → 約26.4万円(所得税約8.9万+住民税17.5万) |
| 併用(1,150万円を一時金+350万円を60〜64歳に年金で年70万円) | 一時金は控除内で0円。年金は65歳未満の控除60万円を引いて雑所得10万円/年 → 他に所得がなければ基礎控除の範囲に収まりほぼ0円 |
→ 退職金がない人は、控除の枠まで一時金+はみ出した分を60〜64歳に年金が一番お得になりやすいですわ。60〜64歳に給与がある場合は年金分が給与と合算されるので、全額一時金との差は縮まりますの。
ケース2:退職金2,000万円(勤続38年)+iDeCo加入20年・残高800万円、60歳で退職#
| 受け取り方 | 税金の目安 |
|---|---|
| iDeCoも同じ年に一時金 | 控除は勤続38年分の2,060万円を1回だけ。退職所得=(2,800万−2,060万)×1/2=370万円 → 約68.9万円 |
| 退職金は一時金、iDeCoは60〜64歳に年金(年160万円) | 退職金は控除内で0円。年金は雑所得92.5万円/年。他に所得がなければ所得税はほぼかからず、住民税が年数万円+国保料が上がる程度 |
→ 退職金で控除を使い切る人は、iDeCoを一時金にすると一番損をしやすいですわ。年金にしたほうが手取りは多くなりますが、国民健康保険料の増加分は自治体によって違うので、お住まいの自治体の料率で必ず確認してくださいまし。
2026年1月から「5年ルール」が「10年ルール」に#
退職金とiDeCoの一時金を別々の年にずらして、退職所得控除を2回使う——という節税策がありましたの。これが令和7年度税制改正で狭まりましたわ。
| 受け取る順番 | 控除が調整される範囲 | 改正 |
|---|---|---|
| iDeCo一時金が先 → 退職金が後 | 退職金を受け取る年の前年以前9年以内にiDeCo一時金があれば調整 | 4年→9年に延長(2026年1月1日以後の支払いから) |
| 退職金が先 → iDeCo一時金が後 | iDeCo一時金を受け取る年の前年以前19年以内に退職金があれば調整 | 変更なし |
つまり、これまでの「60歳でiDeCo一時金、65歳で退職金」という5年ずらしは、2026年以降は控除が調整されて効かなくなりましたの。控除を別々に使うには、iDeCo一時金のあと10年以上空けて退職金を受け取る必要がありますわ。
auのiDeCoの試算では、DC一時金500万円(加入12年)を60歳、退職金1,500万円(勤続29年)を65歳で受け取るケースで、改正後の税額が約36万円増えるとされていますの。
「退職金が先」のパターンはもともと19年の枠があるので、退職金のある会社員が一時金の受け取り時期をずらして控除を2回使うのは、ほぼ不可能と考えてよろしいですわ。退職金がある人ほど、年金受け取りを軸に考えるべき理由がここにありますの。
一時金で受け取るときは、前年以前19年以内に受け取った退職金の「退職所得の源泉徴収票」のコピーを提出するよう求められますわ。退職金の源泉徴収票は捨てずに保管しておいてくださいまし。
年金で受け取り始めてから、残りを一括で受け取れる?#
「65歳から一部を年金で受け取って、残りは運用を続けて、5年後に一括で受け取れるか」という質問は多いですわ。
答えは、年金として受け取りを始めてから5年を経過すれば、残りの金額を一時金として請求できますの(三菱UFJ銀行のiDeCo給付ページに明記)。受け取りまで1〜2か月ほどかかりますわ。
- 受け取り開始時に「一部を一時金+残りを年金」とする併用もできる
- 年金で受け取っているあいだも、残りの資産は選んだ商品で運用が続く(値下がりリスクも続く)
- 年金の受取期間(5〜20年)は1年刻みで選べる運営管理機関が多い
運用を続けたまま少しずつ受け取れるのは年金方式の利点ですけれど、受け取り中の暴落で残高が減るリスクもあることは忘れないでくださいまし。
受け取りの手続きとスケジュール#
手続きはおおむね次の流れですわ。
- 60歳前後に書類が届く:記録関連運営管理機関(JIS&T社など)から老齢給付金の請求書類一式が届く
- 受け取り方を決めて記入・提出:一時金・年金・併用、年金なら期間と回数を選ぶ。一時金なら「退職所得の受給に関する申告書」も出す
- 裁定結果の通知:年齢要件や書類不備の確認後、「給付金裁定結果通知書」が届く
- 振込:楽天証券の案内では、一時金は裁定完了の翌月20日ごろに振り込まれる
「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、一時金から20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算することになりますの。出し忘れに注意ですわ。
受け取ったお金の置き場所も決めておく#
一時金でまとまったお金を受け取ると、普通預金に置いたままになりがちですの。受け取る前に「どこに置くか」を決めておくのが出口戦略の仕上げですわ。
- 生活費の数年分は、元本割れしない先へ。個人向け国債 変動10年は金利上昇に合わせて利率が見直される仕組みで、候補になりますの
- 運用を続けたい分は、新NISAの非課税枠へ。新NISA×iDeCo 節税最大化の組み合わせ戦略で、受け取り後のNISA活用も整理していますわ
- 退職前後の手続きが重なる方はiDeCo転職・退職時の手続き完全ガイドも確認を
まとめ:受け取る5年前から設計を始める#
- 一番お得な受け取り方は「退職金の有無」と「60〜64歳の収入」で決まる
- 基本形は退職所得控除の枠まで一時金、はみ出した分を60〜64歳に年金
- 退職金で控除を使い切る人は、iDeCoは年金受け取りが有利になりやすい
- 2026年1月から、iDeCo一時金→退職金の順は10年ルール。5年ずらしは効かない
- 年金受け取り開始から5年たてば、残りを一時金で受け取れる
- 75歳までに請求しないと供託される。自分で請求しない限り受け取れない
退職金の額と受け取り時期は、会社の就業規則や人事部で事前に確認できますの。受け取る5年前くらいから、退職金・公的年金の受給開始年齢(繰下げを含む)とあわせて設計しておくとよろしくてよ 🌹
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものですわ。税額は個人の状況により異なり、税制も改正されますの。実際の受け取りにあたっては、税理士や金融機関、最寄りの税務署にご相談くださいませ。






