「コモディティETFといえばDBC・PDBC・GSG」——米国の解説記事を読むと、必ずこの3本が出てきますわね。
でも、日本の個人投資家がいちばん先に知るべきことは別のところにありますの。この3本は、SBI証券でも楽天証券でも買えません。 2026年10月16日更新のSBI証券「米国株式取扱銘柄一覧」と、楽天証券の米国株取扱銘柄CSVを1行ずつ確認しましたが、DBC・PDBC・GSGのどれも載っていませんでしたわ。
この記事では、まず3本の違い(経費率・連動指数・中身・税務書類)を最新の数字で整理し、そのうえで 日本の証券口座から実際に買えるコモディティETF を並べます。以前の版で書いていた「GSGの経費率は約0.48%」は誤りで、iShares公式の表記は 0.75% です。お詫びして訂正しますわ。
結論:DBC・PDBC・GSGはSBI・楽天では買えない#
先に結論の表を置いておきますわね(2026年10月16〜17日に各社の公開一覧で確認)。
| ティッカー | 中身 | SBI証券 | 楽天証券 |
|---|---|---|---|
| DBC | 14商品に分散(Invesco) | × | × |
| PDBC | DBCとほぼ同じ中身・K-1なし(Invesco) | × | × |
| GSG | S&P GSCI連動・エネルギー偏重(iShares) | × | × |
| COM | 12商品・トレンドで現金に退避(Direxion) | ○ | ○ |
| FTGC | アクティブ運用の分散型(First Trust) | ○ | ○ |
| DJP | ブルームバーグ商品指数のETN(iPath) | × | ○ |
「コモディティ etf 米国 sbi」で調べた方への答えは、SBI証券で買える米国のコモディティETFはCOMとFTGCの2本ですわ。楽天証券ならこれにDJPが加わります。
マネックス証券の取扱一覧はサーバーからの閲覧が拒否されて確認できませんでした。マネックスで買いたい方は、ログイン後の銘柄検索でティッカーを直接入れてみてくださいまし。
なぜ日本の証券会社で買えないのか#
SBI証券は、取扱い銘柄ごとの「不取扱いの理由」は公表していません。ただ、手がかりはあります。
SBI証券の「取扱停止銘柄」ページには、「Partnership(パートナーシップ)に該当するため、本銘柄を2022/12/5以降新規買付停止」 という記載が並んでいます。2023年から、米国のパートナーシップ(PTP)を外国人が売ると売却代金の10%が源泉徴収されうるルールが始まったためで、日本のネット証券はこの形態の銘柄を一斉に扱わなくなりましたの。
DBCとGSGは、米国の税務上パートナーシップとして扱われ、投資家にK-1という書類を出すタイプです。同じ理由で扱われていないと考えるのが自然ですわね。
一方、PDBCはK-1を出さない投資会社(1940年法ファンド)形態で、パートナーシップではありません。それでも一覧に無いのは、単に取扱い候補に入っていないだけと見るべきでしょう。「いつか追加されるかもしれない」ので、気になる方は定期的に一覧を見てくださいまし。
DBC・PDBC・GSGの違いを比較(2026年10月時点)#
日本から買えないとはいえ、米国の解説やSNSで名前が出るたびに比べたくなる3本ですわ。違いはこの表で全部つかめます。
| 項目 | DBC | PDBC | GSG |
|---|---|---|---|
| 運用会社 | Invesco | Invesco | iShares(BlackRock) |
| 設定日 | 2006年2月 | 2014年11月 | 2006年7月 |
| 経費率 | 0.84% | 0.59% | 0.75% |
| 純資産 | 約19.6億ドル | 約79.1億ドル | 約10.6億ドル |
| 連動指数・運用 | DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index | アクティブ(DBCと同じ考え方で限月を選ぶ) | S&P GSCI Total Return |
| 商品の配分 | 14商品にほぼ均等寄り | DBCに近い | 世界生産量で加重 → エネルギーが大半 |
| 米国の税務書類 | K-1 | 1099(K-1なし) | K-1 |
| 直近1年の分配 | 0.744ドル(2025年12月) | 0.509ドル(2025年12月) | なし |
※経費率・純資産はiShares公式(GSG、2026年10月16日)とstockanalysis.com(DBC・PDBC、2026年10月16日)の表記。分配はYahoo Financeの分配履歴。
ポイントは3つだけですわ。
- DBCとPDBCは「中身はほぼ同じ、器が違う」。PDBCはK-1を出さず、経費率も0.25ポイント安い。純資産もPDBCのほうが4倍大きい
- GSGは別物。S&P GSCIは世界の生産量で重みを決めるので、原油・天然ガスなどエネルギーの比率が大きくなります。「分散」より「原油の代わり」に近い値動きですの
- DBC・PDBCが分配を出すのは、担保として持っている米国短期国債の利息。商品そのものが利息を生むわけではありません
DBC:コモディティETFの草分け#
DBCは2006年設定の、コモディティETFの草分けですわ。原油(WTI・ブレント)、ガソリン、灯油、天然ガス、金、銀、アルミ、亜鉛、銅、トウモロコシ、小麦、大豆、砂糖の14商品に投資します。
特徴は「オプティマム・イールド」という限月の選び方。先物は満期が来るたびに次の限月へ乗り換える(ロールする)必要があり、遠い限月のほうが高い状態(コンタンゴ)だと、乗り換えのたびに損が出ます。DBCは最大13か月先までの限月から、乗り換えの損が最も小さいものを選ぶことで、このコストを抑えようとしていますの。
弱点は、経費率0.84%とK-1の存在。米国の投資家にとってK-1は確定申告の手間が増える書類で、これを嫌った資金がPDBCに流れました。
PDBC:DBCの「K-1なし版」#
PDBCはDBCと同じInvescoが2014年に出した、DBCとほぼ同じ考え方で運用されるK-1なしの版ですわ。
ケイマン諸島の子会社を通じて先物を持つことで、ファンド本体は普通の投資会社として扱われ、投資家には一般的な1099書類が届くだけ。指数に連動するのではなくアクティブ運用ですが、実際の値動きはDBCとほとんど変わりません。直近1年のトータルリターン(分配込み)は、DBCが+57.7%、PDBCが+58.4%(Yahoo Finance、2025年10月17日〜2026年10月16日)と、ほぼ同じでしたわ。
「DBCとPDBC、どっちがいい?」と聞かれたら、米国の投資家なら答えはPDBC。コストが安く、資産規模も大きく、書類も楽ですもの。
GSG:S&P GSCI連動、エネルギーに賭ける器#
GSGはiSharesの、S&P GSCI指数に連動するETFですわ。
S&P GSCIは世界の生産量で各商品の重みを決めます。原油は生産量(金額)が桁違いに大きいので、どうしてもエネルギーが指数の主役になりますの。「gsg dbc 違い」の答えは、ここに尽きます。
- DBC … 14商品にほどほど分散。原油が上がっても下がっても、金属や穀物がクッションになる
- GSG … エネルギーの比率が大きく、原油価格との連動が強い
iShares公式(2026年9月30日時点)の年率リターンは、1年+55.21%、5年+16.09%、10年+9.16%、設定来−1.58%。直近は商品高で絶好調ですが、2006年からの20年で見ると年率マイナスですわ。乗り換えコストと長い下落期間が、ここまで効くということですの。
日本から買えるコモディティETF:COM・FTGC・DJP#
では、日本の証券口座から買える米国上場の選択肢を見ていきますわね。
| 項目 | COM | FTGC | DJP |
|---|---|---|---|
| 運用会社 | Direxion | First Trust | iPath(Barclays) |
| 形態 | ETF | ETF(アクティブ) | ETN(債券) |
| 経費率 | 0.72% | 0.98% | 0.70% |
| 純資産 | 約2.07億ドル | 約34.2億ドル | 約10.4億ドル |
| 中身 | 12商品・トレンド次第で現金へ退避 | 分散型・運用会社が配分を判断 | ブルームバーグ商品指数 |
| 直近1年リターン | +23.3% | +43.3% | +47.0% |
| SBI証券 | ○ | ○ | × |
| 楽天証券 | ○ | ○ | ○ |
※経費率・純資産はstockanalysis.com、リターンはYahoo Financeの分配込み価格(いずれも2026年10月16日時点)。
COM:下落局面で現金に逃げる#
COMは12の商品先物を持ちますが、各商品の価格トレンドが下向きになると、その商品を売って現金(短期国債)に退避する仕組みですわ。上昇相場では取り分が減る代わりに、2020年春のような商品の急落局面で傷を浅くしやすい設計です。直近1年が+23.3%とほかより低いのは、この「慎重さ」の裏返しですの。
FTGC:純資産が最も大きい分散型#
FTGCはFirst Trustのアクティブ運用ファンドで、純資産は約34億ドルと、日本から買える中では群を抜いて大きいですわ。経費率0.98%は高めですが、流動性の面では安心感があります。
注意点は分配の出方。2025年12月には1口3.665ドルという大きな分配が出ていて、その後の四半期分配は0.1〜0.4ドル程度でした。分配が年末に偏り、金額も年によって大きく変わるので、分配金目当てで選ぶものではありません。
DJP:ETNなので発行体の信用リスクがある#
DJPは楽天証券でのみ買えますが、**ETF(投資信託)ではなくETN(指数連動債券)**ですわ。Barclays銀行が「指数どおりのリターンを払う」と約束している債券で、商品先物を実際に持っているわけではありません。経費率は0.70%と安い一方、発行体が破綻すれば価値を失うリスクがありますの。
東証上場のコモディティETF:1684・1699#
円建てで買いたいなら、東証にも選択肢がありますわ(東証の銘柄情報、2026年2月27日現在)。
| 項目 | 1684 WisdomTree ブロード | 1699 NF原油先物 |
|---|---|---|
| 連動指数 | ブルームバーグ商品指数 | NOMURA原油ロングインデックス |
| 信託報酬 | 0.49% | 0.55% |
| NISA成長投資枠 | 対象外 | 対象 |
| 純資産・受益権口数 | 受益権口数0口 | 297億円 |
1684はDJPと同じブルームバーグ商品指数に円建てで連動し、信託報酬0.49%と安いのですが、東証資料の受益権口数が0口と、市場にほとんど出回っていません。売買が成立しにくい可能性が高いので、買う前に板を必ず確認してくださいまし。NISAの対象外である点にも注意ですわ。
1699は原油だけに投資するETFで、分散型ではありません。NISA成長投資枠で買えて純資産も大きいですが、「コモディティ全体」ではなく「原油の値動き」を買うものだと理解しておく必要がありますの。
日本の個人投資家の税金:K-1はほぼ関係ない#
米国の記事で必ず語られる「K-1か1099か」は、日本居住者が日本の証券会社で買う場合、ほとんど関係ありません。K-1は米国の確定申告用の書類で、そもそもSBI証券・楽天証券ではK-1を出すDBC・GSGを扱っていないからですわ。
日本で気にすべきなのは次の2点です。
- 分配金には米国で10%、日本で20.315%の二重課税がかかる(特定口座・一般口座などの課税口座の場合)。確定申告で外国税額控除を使えば、米国分の一部を取り戻せます。詳しくは高配当株の税金と外国税額控除ガイドでまとめていますわ
- 売却益は日本でだけ20.315%課税(特定口座なら源泉徴収で完結)
NISA成長投資枠で米国ETFを持てば分配金・売却益の日本の税金はかかりませんが、米国の10%は取り戻せません。COMやFTGCがNISA対象かどうかは証券会社ごとに異なるので、注文画面の「NISA」表示で確認してくださいまし。
コモディティETFをポートフォリオにどう組み込むか#
コモディティは株式と違う値動きをするので、ポートフォリオ全体のブレをならす役に立ちます。ただし、性格はかなり癖がありますの。
- キャッシュフローを生まない:株の配当や債券の利息に当たるものが無い(分配は担保の国債利息だけ)
- 長期のリターンは低い:GSGの設定来年率−1.58%が示すとおり、20年持っても報われないことがある
- インフレ局面には強い:物価上昇の原因そのもの(原油・食料・金属)を持つので、2021〜2022年や直近1年のような局面では株・債券を大きく上回る
ですから、持つならポートフォリオ全体の5〜10%程度を上限の目安にし、定期的に比率を戻すのが無難ですわ。リバランスの具体的な手順はポートフォリオのリバランス完全ガイドをどうぞ。
もうひとつ大事なのは、直近1年で+40〜60%上がった後だという事実。上がった資産ほど欲しくなるのが人情ですが、コモディティは急騰の後に何年も下がり続けた歴史があります。一度に買わず、何回かに分けて組み入れるくらいがちょうどいいですわ。
金ETF・インフレ連動債との使い分け#
「インフレ対策なら金でいいのでは?」という疑問にもお答えしておきますわね。
| 資産 | 強い局面 | 弱い局面 |
|---|---|---|
| 金ETF(GLD・IAUなど) | 金融不安・通貨安・有事 | 実質金利の上昇 |
| コモディティETF | 景気拡大を伴うインフレ・供給ショック | 景気後退・需要減 |
| インフレ連動債(TIP) | 予想外のインフレ | 実質金利の急上昇 |
金は「守り」、コモディティは「攻めのインフレヘッジ」、インフレ連動債は「インフレ分だけ確実に取る」道具ですの。それぞれの比較は金ETF GLD・IAU・GLDM比較とTIP・VTIPインフレ連動債ETFガイド、銀に絞るなら銀ETF SLV・PSLV・SIVR比較で詳しく書いていますわ。
よくある質問#
Q. SBI証券でDBCやPDBCを買う方法はありますか? A. 2026年10月16日更新の取扱一覧には無く、通常の方法では買えません。SBI証券で買えるコモディティETFはCOMとFTGCですわ。
Q. GSGとDBCの違いを一言で言うと? A. DBCは14商品への分散、GSGは世界生産量で加重するためエネルギーの比率が大きい、という違いです。GSGのほうが原油価格に振り回されやすいですの。
Q. PDBCは毎年分配金を出しますか? A. 直近は2025年12月に1口0.509ドルの分配がありました。担保として持つ短期国債の利息が原資なので、金利によって金額は変わりますわ。
Q. 日本円で買えるコモディティETFは? A. 東証の1684(ブルームバーグ商品指数・信託報酬0.49%・NISA対象外)があります。ただし流通量が極めて少ないので、注文前に板を確認してくださいまし。
まとめ#
- DBC・PDBC・GSGはSBI証券・楽天証券のどちらでも買えない(2026年10月の取扱一覧で確認)
- SBI証券で買えるのは COMとFTGC、楽天証券なら DJP(ETN) も
- DBCとPDBCは中身がほぼ同じで、PDBCのほうが経費率0.59%と安くK-1なし。GSGはエネルギー偏重で経費率0.75%
- 円建てなら東証1684(NISA対象外・流動性に難)、原油だけなら1699
- コモディティは長期リターンが低くキャッシュフローも無い。持つならポートフォリオの5〜10%まで、急騰後は分けて買う
ふん、「有名な3本が実は買えない」なんて、誰も教えてくれなかったでしょう? 買えないものを比べて時間を使うより、買えるものの中身を確かめるほうがずっと大事ですわよ。🌹






