サイバー攻撃の被害は年々拡大し、2025年の世界全体の被害額は10兆ドルを超えたとも言われています。企業・政府機関がセキュリティ予算を積み増すなか、サイバーセキュリティ関連銘柄をまとめて保有できるETFへの注目が高まっています。
この記事では、代表的なサイバーセキュリティETFであるHACK・CIBR・BUGの3本を徹底比較し、それぞれの特徴と選び方を解説します。
サイバーセキュリティETFとは#
サイバーセキュリティETFとは、ネットワーク防衛・クラウドセキュリティ・エンドポイント保護・脅威インテリジェンスなどを手がける企業に分散投資できる上場投資信託です。
個別株でCrowdStrikeやPalo Alto Networksを買うよりも分散が効き、リスクを抑えながらセクター全体の成長を取り込めるのが強みです。
主要3ETFの基本データ(2026年5月時点)#
| 項目 | HACK | CIBR | BUG |
|---|---|---|---|
| 運用会社 | ETFMG | First Trust | Global X |
| 設定年 | 2014年 | 2015年 | 2019年 |
| 経費率 | 0.60% | 0.60% | 0.50% |
| 組入銘柄数 | 約30銘柄 | 約30銘柄 | 約20銘柄 |
| 運用総資産 | 約8億ドル | 約60億ドル | 約10億ドル |
HACK(ETFMG Prime Cyber Security ETF)#
HACKは2014年設定の老舗サイバーセキュリティETFです。Pure Play(サイバーセキュリティ専業)企業に加え、ITインフラ・防衛分野のセキュリティ企業も組み入れるのが特徴です。
主要組入銘柄#
- Palo Alto Networks(PANW)
- CrowdStrike(CRWD)
- Fortinet(FTNT)
- Zscaler(ZS)
- Leidos Holdings(防衛系セキュリティ)
HACKの特徴#
- 軍・政府向けセキュリティ企業も含むため、地政学リスク局面で底堅い
- 設定来の実績が長く、パフォーマンスの検証がしやすい
- 経費率は0.60%とやや高め
CIBR(First Trust Nasdaq Cybersecurity ETF)#
CIBRは純資産総額が最も大きい、事実上のサイバーセキュリティETFのベンチマーク的存在です。Nasdaqサイバーセキュリティ指数に連動します。
主要組入銘柄#
- Broadcom(AVGO)
- Cisco Systems(CSCO)
- Palo Alto Networks(PANW)
- CrowdStrike(CRWD)
- Zscaler(ZS)
CIBRの特徴#
- 時価総額加重のため大型株の比率が高く、安定感がある
- BroadcomやCiscoといった「セキュリティ機能を持つ大手IT企業」も含む
- 流動性が高く、売買しやすい
- 運用総資産が大きいため繰上償還リスクが低い
BUG(Global X Cybersecurity ETF)#
BUGはPure Playに特化した比較的新しいETFです。純粋にサイバーセキュリティを本業とする企業のみを選別します。
主要組入銘柄#
- CrowdStrike(CRWD)
- Palo Alto Networks(PANW)
- SentinelOne(S)
- Okta(OKTA)
- Varonis Systems(VRNS)
BUGの特徴#
- **経費率0.50%**と3本の中で最も低コスト
- Pure Play限定のため、セクター純度が高くテーマ性が強い
- 組入銘柄数が少ない分、個別銘柄リスクが大きい
- 新興成長株の比率が高く、ボラティリティも高め
3本のパフォーマンス比較#
AI・クラウド投資の拡大とともにサイバーセキュリティ需要も急増し、3本とも2023〜2025年にかけて大きく上昇しました。
リターンの傾向#
- 強気相場:BUG > CIBR ≧ HACK(Pure Playの成長株が牽引)
- 弱気相場:HACK > CIBR > BUG(防衛・大型株が下落幅を抑制)
テーマ性を重視するならBUG、安定感を重視するならCIBR、守りを意識するならHACKという使い分けが基本です。
なぜ今サイバーセキュリティETFなのか#
AI時代に脅威は拡大する一方#
AIの普及により、攻撃者もAIを活用した高度なフィッシング・マルウェアを生成できるようになりました。これに対抗するため、企業のセキュリティ支出はGDP成長を大きく上回るペースで増加しています。
Gartnerの予測では、2027年までに世界のサイバーセキュリティ市場は年間3,000億ドル規模に達する見込みです。
規制強化が追い風#
EU・米国・日本いずれも、サイバーセキュリティ関連の規制を強化する方向にあります。コンプライアンス対応のため、企業はセキュリティ製品・サービスへの投資を義務化されつつあります。
景気後退に強い#
サイバー攻撃は景気に関係なく発生します。そのためセキュリティ予算は他のIT支出よりも削られにくいとされており、景気後退局面でも比較的底堅い傾向があります。
こんな人に向いている#
サイバーセキュリティETFが合う投資家:
- 個別株(CrowdStrikeやPalo Alto)のリスクを分散したい
- AI・テクノロジー投資の中で守りの要素も取り入れたい
- 中長期(5〜10年)で成長テーマに乗りたい
- 情報セキュリティ業界の動向に興味がある
向いていない投資家:
- 配当収入を重視する(3本とも無配またはほぼ無配)
- 低ボラティリティのポートフォリオを作りたい
- 短期売買を想定している
日本から購入する方法#
HACK・CIBR・BUGはいずれも米国ETFのため、米国株を取り扱う証券会社から購入できます。
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
いずれもNISA成長投資枠の対象です。円で購入できますが、為替リスク(円高時に目減り)がある点は頭に入れておきましょう。
まとめ:どれを選ぶか#
| こんな人に | おすすめETF |
|---|---|
| 流動性・安定感を重視 | CIBR |
| テーマ純度と低コストを重視 | BUG |
| 防衛・政府系も含めたい | HACK |
| 迷ったら | CIBR |
サイバーセキュリティは「AIが普及するほど需要が増える」という構造的成長テーマです。S&P500やNASDAQ100に加えてポートフォリオの一部(5〜10%程度)をサイバーセキュリティETFに振り向けることで、テクノロジーセクター内でのリスク分散と成長の取り込みを両立できます。
まずはつみたてNISAの特定口座や、NISA成長投資枠で小口から試してみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)#
Q1: サイバーセキュリティETFは配当が出ますか?#
HACK・CIBR・BUGはいずれも無配またはほぼ無配です。サイバーセキュリティ企業は成長投資に利益を再投資する傾向が強いため、配当収入を重視する投資家には向きません。キャピタルゲイン(値上がり益)を狙う中長期投資に適したETFです。
Q2: HACK・CIBR・BUGの中でどれを選ぶべきですか?#
迷ったらCIBRがおすすめです。純資産総額が約60億ドルと最大で流動性が高く、繰上償還リスクも低いため安心して長期保有できます。テーマ純度を重視するならBUG、防衛・政府系セキュリティ企業も含めたいならHACKが適しています。
Q3: サイバーセキュリティETFは景気後退に強いですか?#
比較的強いとされています。サイバー攻撃は景気に関係なく発生するため、セキュリティ予算は他のIT支出よりも削られにくい傾向があります。ただし株式市場全体が大きく下落する局面では影響を受けるため、完全な防御資産ではありません。
Q4: NISAでサイバーセキュリティETFを購入できますか?#
はい、HACK・CIBR・BUGはいずれもNISA成長投資枠の対象です。SBI証券・楽天証券・マネックス証券などから米国ETFとして購入できます。ただし為替リスク(円高時に評価額が目減り)がある点には注意が必要です。
Q5: ポートフォリオの何%をサイバーセキュリティETFに配分すべきですか?#
一般的にはポートフォリオ全体の5〜10%程度が目安です。S&P500やNASDAQ100をコアとしつつ、サイバーセキュリティETFをサテライトとして組み入れることで、テクノロジーセクター内でのリスク分散と成長の取り込みを両立できます。
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本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
