株価が乱高下するたびに「もっと安全な置き場所はないか」と感じたことはありませんか?
そんなときに候補に上がるのが**個人向け国債**、なかでも「変動10年」ですわ。元本割れがなく、日本政府が元利払いを行う債券ですの。
2026年10月に募集中の変動10年(第199回)の適用利率は年2.05%(税引後1.6335425%)です。募集期間は2026年10月8日〜10月30日、発行日は11月16日ですわ。
ただし今は少し変わったことが起きていますの。同じ10月募集で固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%。つまり満期がいちばん長い変動10年が、いちばん金利が低いという逆転が発生しています。「長く預けるほど有利」という直感が通用しませんの。
この記事では、まず変動10年の仕組み(利率がどう決まり、いつ変わり、いくら受け取れるのか)を財務省の商品概要とQ&Aの一次情報で確認します。そのうえで、「変動10年は本当に買うべきか」を固定5年との損益分岐と、中途換金で実際に引かれる金額から判断できるように整理しますわ。
個人向け国債とは?#
個人向け国債(こじんむけこくさい)は、日本政府が個人だけに向けて発行する国債です。一般の国債が最低額面5万円なのに対し、個人向け国債は1万円から1万円単位で買え、発行から1年たてば国が額面で買い取ってくれる(中途換金)など、個人が持ちやすいように設計されていますの。
銀行の定期預金と似ていますが、以下の点が異なります。
| 項目 | 個人向け国債 | 定期預金 |
|---|---|---|
| 元利払いをするのは | 国(日本政府) | 各銀行(預金保険で1,000万円と利息まで保護) |
| 元本 | 満期・中途換金とも額面100円につき100円 | 満期なら元本どおり |
| 金利タイプ | 変動10年・固定5年・固定3年 | 固定が主流 |
| 最低購入額 | 1万円(上限なし) | 銀行による |
| 購入場所 | 証券会社・銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行など | 各銀行 |
| 発行 | 毎月(年12回) | 随時 |
保有できるのは個人(自然人)だけです。マンション管理組合のような団体は買えませんし、購入者の年齢制限はありません(未成年は親権者の同意など、金融機関ごとの手続きがあります)。
個人向け国債の3種類#
個人向け国債は満期と金利タイプの違いで3種類あります。財務省の商品概要をそのまま並べますわ。
| 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 | |
|---|---|---|---|
| 満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
| 金利タイプ | 変動(半年ごとに見直し) | 固定 | 固定 |
| 金利の決め方 | 基準金利 × 0.66 | 基準金利 − 0.05% | 基準金利 − 0.03% |
| 基準金利とは | 直近の10年固定利付国債の入札の平均落札利回り | 市場実勢から計算した5年債の想定利回り | 同じく3年債の想定利回り |
| 金利の下限 | 年0.05% | 年0.05% | 年0.05% |
| 利子の受け取り | 半年ごと・年2回 | 同左 | 同左 |
| 中途換金 | 発行から1年経過後いつでも | 同左 | 同左 |
3種類のうち、利率が途中で変わるのは変動10年だけです。固定5年・固定3年は、買った時点で満期までの受取利子がすべて決まりますの。
変動10年の仕組み|金利はどう決まり、いつ変わるのか#
「変動10年ってどういう仕組み?」という疑問に、財務省のQ&Aの定義どおりに答えますわ。ポイントは4つだけですの。
① 利率は「基準金利 × 0.66」で決まる#
変動10年の適用利率(年率)は、基準金利に0.66を掛けた値(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)です。
基準金利とは、10年固定利付国債(ふつうの10年国債)の入札の平均落札利回りのこと。つまり変動10年の利率は、市場で決まる長期金利にそのまま連動しますの。
2026年9月募集の年1.95%から逆算すると、基準金利はおよそ2.95%(1.95 ÷ 0.66)だった計算になります。
② 利率は半年ごとに見直される#
変動10年は、利子の計算期間(半年)ごとに適用利率が変わります。各期の基準金利は「利子計算期間が始まる日の前月までに行われた、最後の10年国債入札」の結果を使います(初回だけは募集期間開始日までの最後の入札)。
2026年9月募集の第198回債でいえば、
- 発行日:2026年10月15日
- 利払日:毎年4月15日と10月15日
- 償還(満期):2036年10月15日
ですから、2027年4月15日から始まる2回目の計算期間の利率は、2027年3月までの最後の10年国債入札で決まる、という流れですわ。
③ 下限は年0.05%、上限はない#
基準金利が下がって計算上の利率がゼロやマイナスになっても、年0.05%は保証されます。一方で、上限は設けられていません。長期金利が上がれば、その分だけ受け取る利子も増えますの。
なお、この「×0.66」という算式は満期まで変わりません。財務省は、10年国債を10年間持った場合の金利収入とのバランスや、中途換金ができる商品性を総合的に勘案した結果、と説明していますわ。平成23年(2011年)6月までに発行された変動10年は「基準金利 − 0.80%」という引き算方式でしたので、昔買った変動10年と利率が違うのはそのためですの。
④ 利子は半年ごとに、20.315%引かれて入金される#
2回目以降の利子は「額面 × 適用利率 ÷ 2」で計算され、受け取るときに20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)が源泉徴収されます。確定申告は不要です(遺族年金を受けられる妻や身体障害者手帳の交付を受けている方などは、マル優・特別マル優で非課税にできます)。
100万円を年1.95%のまま持った場合の目安を計算しておきますわ。
| 税引前 | 税引後(×0.79685) | |
|---|---|---|
| 半年ごとの利子 | 9,750円 | 約7,769円 |
| 1年分の利子 | 19,500円 | 約15,539円 |
これはあくまで「利率が1.95%のまま動かなかったら」の数字です。変動10年ですので、実際の2回目以降の利子は、その時々の長期金利で増えたり減ったりしますの。
募集中の利率|変動10年・固定5年・固定3年を比べる#
2024年以降、日本銀行がマイナス金利を解除して利上げを重ね、長期金利が上がってきました。変動10年の利率が年1%台後半まで上がってきたのはそのためですわ。
2026年10月募集分の発行条件(財務省)#
財務省が公表している「現在募集中の個人向け国債」(令和8年10月15日現在)から、3種類の条件を並べますわ。
| 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 | |
|---|---|---|---|
| 回号 | 第199回債 | 第187回債 | 第197回債 |
| 表面利率(年・税引前) | 2.05% | 2.39% | 2.07% |
| 表面利率(税引後) | 1.6335425% | 1.9044715% | 1.6494795% |
| 金利タイプ | 変動 | 固定 | 固定 |
| 募集期間 | 2026年10月8日〜10月30日 | 同左 | 同左 |
| 発行日 | 2026年11月16日 | 同左 | 同左 |
変動10年がいちばん低いという結果になっています。これは算式の違いによるものですの。固定5年・固定3年が「基準金利−0.05%」なのに対し、変動10年だけが「基準金利×0.66」。基準金利に0.66を掛ける以上、長期金利が高い局面ほど、固定物との差は開きますわ。
裏を返せば、変動10年はこれから金利がさらに上がったときに追従できるという性質を持ちます。今の利率だけで比べるか、今後の金利の方向を織り込むかで評価が変わる、ということですの。どちらが正解かを断定することは致しませんわ。
変動10年は本当に買うべきか|固定5年との損益分岐#
検索で多いのが「変動10年、ほんとに買うべき?」という疑問ですわね。ここは断定せず、判断に使える数字を出しますの。
固定5年に追いつくには、長期金利が平均3.39%必要#
9月募集の固定5年は年2.24%で5年間固定です。100万円なら5年間の利子は税引前112,000円(税引後 約89,247円)で確定します。
変動10年(今は1.95%)が同じ5年間で固定5年に並ぶには、5年間の平均利率が2.24%になる必要があります。2.24 ÷ 0.66 = 約3.39%。つまり、10年国債の入札利回りが今後5年間の平均で約3.39%(今回の逆算値2.95%より約0.44ポイント高い水準)を上回らないと、固定5年のほうが多くの利子を受け取れる、という計算ですわ。
長期金利が今後そこまで上がるかどうかは、誰にも断言できません。ですから、
- 金利はこの先も上がると考える人・10年かけて置いておける人 → 変動10年
- いま見えている利率を確定させたい人・5年以内に使う予定がある人 → 固定5年
という分け方が、いちばん素直な答えになりますの。
「金利が低いときに買うと損」にはならない#
固定金利なら、低金利のときに買うと満期までその低い利率に縛られます。けれど変動10年は半年ごとに利率が見直されるので、買ったあとに金利が上がれば、その分だけ利子も増えます。「今は金利が低いから買うのを待つ」という悩み方は、変動10年に関しては固定物ほど意味を持ちませんの。
逆に言えば、金利が下がれば利子も減ります(下限は0.05%)。ここが変動10年を選ぶ場合に受け入れるリスクですわ。
変動10年が向いている人・向かない人#
| 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|
| 元本割れを絶対に避けたい | 資産を大きく増やしたい |
| 1年以上は使わない資金がある | 1年以内に使う可能性がある |
| 金利上昇に取り残されたくない | 受取利子を今の時点で確定させたい |
| 退職金などの置き場所を探している | NISAの非課税枠で運用したい(対象外) |
高齢の方が買っても大丈夫かという点では、購入に年齢制限はありませんし、後述のとおり保有者が亡くなった場合は発行から1年未満でも相続人が中途換金できる特例があります。元本(額面)は中途換金でも割れませんので、「相続のときに値下がりしていた」という心配はありませんわ。
中途換金の仕組み|1年で解約すると利子はほぼ残らない#
「元本保証」とよく言われますが、中途換金にはコストがかかります。ここを知らずに買うと後悔しますので、財務省の計算式どおりに確認しておきますわ。
発行から1年間は原則として換金できない#
中途換金ができるのは、第2期利子支払日(発行から1年経過)以降です。それ以降はいつでも、1万円単位で一部だけ換金することもできます。換金代金はおおむね申込日を含めて3営業日後に支払われ、手数料はかかりません。
引かれるのは「直前2回分の利子(税引前)× 0.79685」#
中途換金で受け取る金額は、
額面金額 + 経過利子相当額 − 直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685
です。0.79685を掛けているのは、受け取った利子からすでに20.315%の税金が引かれているからですの。つまり直近1年分の利子(税引後)を返す仕組みですわ。
100万円・年1.95%のままと仮定すると、中途換金で差し引かれるのは
- 9,750円 × 2回 × 0.79685 = 約15,539円
です。1年分の税引後利子(約15,539円)とほぼ同じ額ですわね。ですから、
- 発行から1年ちょうどで換金 → それまで受け取った利子をほぼ全部返す計算。手元に残るのは額面の100万円(+経過利子)だけ
- 発行から2年で換金 → 2年分の利子のうち1年分を返すので、実質1年分の利子が残る
というイメージです。「1年以上置けるお金」ではなく「最低でも2〜3年は置けるお金」で買うほうが、利子を取りこぼしませんの。
亡くなった場合・災害にあった場合の特例#
次のどちらかにあたる場合は、発行から1年未満でも中途換金できます。
- 口座名義人が亡くなった場合(相続人が、相続人であることを証明する書類などを添えて申請)
- 災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害で被害を受けた場合(罹災証明書などが必要)
個人向け国債のメリット#
元本(額面)が割れない#
満期でも中途換金でも、額面100円につき100円が戻ります。値動きのある債券ETFや米国債ETFとは、ここが決定的に違いますの。前述のとおり中途換金時には直近1年分の利子相当を返しますが、元本そのものは減りませんわ。
最低金利0.05%が保証されている#
どれだけ金利が下がっても、年0.05%は下回りません。
1万円から、上限なしで買える#
最低1万円から1万円単位。購入金額に上限はありません。
口座管理以外のコストがかからない#
購入時の手数料はなく、中途換金にも手数料はかかりません(中途換金調整額は差し引かれます)。国債の口座管理手数料は金融機関によって異なりますので、口座を作る前にご確認くださいまし。
個人向け国債のデメリット#
発行から1年は換金できない#
中途換金は発行から1年経過後。すぐに使う予定のお金には向きません。
短期で換金すると利子が残りにくい#
上で計算したとおり、中途換金では直近1年分の利子相当を返します。2〜3年以内に解約する可能性が高いお金なら、普通預金との差はそれほど大きくなりませんわ。
リターンは株式より低い#
資産を「殖やす」より「守る」商品です。インフレ率が利率を上回れば、実質的な購買力は目減りしますの。
NISAの対象外#
利子には20.315%の税金がかかり、NISA口座では買えません。NISAの枠は株式やETFに使い、国債は課税口座で持つ、という役割分担になりますわ。
定期預金との比較:どちらを選ぶべきか?#
| 比較ポイント | 個人向け国債(変動10年・第199回) | メガバンク普通預金 |
|---|---|---|
| 金利水準(年・税引前) | 2.05%(半年ごとに見直し) | 0.4%(2026年8月3日〜) |
| 元本保証 | あり(国が保証) | あり(預金保険1000万円まで) |
| 換金性 | 発行後1年経過すれば可能 | いつでも |
| 金利変動 | 上昇に追従できる | 変動(政策金利に連動) |
金利の差は約1.5ポイント。一方で、1年以内に使う可能性があるお金は普通預金のほうが自由ですわ。個人向け国債は発行後1年間は換金できませんし、その後も中途換金には直近2回分の利子相当額が差し引かれますの。
ですから順番としては、まず数か月分の生活費を普通預金に確保し(生活防衛資金の作り方)、それを超えて数年は使わない分を個人向け国債に回す、という使い分けが現実的です。
ネット銀行の定期預金はこの中間に位置しますが、金利は各行・各期間でまったく異なりますから、比較されるなら各行の公式ページで当月の条件をご確認くださいまし。ここで一律の数字を出すのは不誠実ですわね。
購入方法:いつ・どこで買えるのか#
募集は毎月、月初から月末まで#
個人向け国債は毎月募集・発行されます。財務省によれば、募集期間は月初の発行条件公表日の翌営業日から、月末営業日までのおおむね1か月間です(2026年9月募集は9月3日〜30日)。発行日は翌月15日前後ですわ。利率は募集開始日の前営業日から財務省のサイトで確認できます。
取扱機関#
証券会社、都市銀行、信託銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、ゆうちょ銀行などで買えます。財務省によれば取扱機関は873機関(2026年9月9日時点)。ネット証券ならオンラインで完結しますの。
購入ステップ#
- 取扱機関で国債を保有するための口座を開設(本人確認書類・マイナンバー確認書類が必要)
- 募集期間中に、種類(変動10年・固定5年・固定3年)と金額を指定して申し込む
- 購入代金を払い込む
- 翌月の発行日から保有開始。以後、半年ごとに利子が入金される
金融機関によっては、国債購入で現金がもらえるキャンペーンを行っていることがあります。ただし条件(購入額や期間)は各社・各月で変わりますので、公式の募集要項でご確認くださいまし。
個人向け国債の活用シーン#
ポートフォリオの安定剤として#
株式と債券を組み合わせるアセットアロケーションで、値動きしない安全資産の枠として使えます。株が暴落しても国債部分の額面は変わりませんので、リバランスの原資にもなりますわ。
生活防衛資金の「その先」の置き場所として#
生活防衛資金そのものは普通預金に置くのが基本です。そのうえで、数年は使わないけれど投資には回したくないお金の置き場所として向いていますの。
退職金・まとまった資金の一時避難先として#
まとまったお金を受け取ったものの、すぐに投資先を決められないとき、変動10年なら金利上昇にも追従しながら待機できます。ただし中途換金時の差し引きがありますので、「1年で動かす」前提なら固定3年や預金と比べてからにしてくださいまし。
よくある質問#
Q. 変動10年の金利はいつ変わるの? A. 半年ごと、利払日(第198回債なら4月15日・10月15日)を区切りに変わります。新しい利率は、その計算期間が始まる前月までの最後の10年国債入札の結果×0.66で決まりますわ。
Q. 変動10年と固定5年、どっちがいいの? A. 2026年9月募集では固定5年(2.24%)のほうが高く、変動10年(1.95%)が固定5年に追いつくには、今後5年の長期金利が平均約3.39%を超える必要があります。金利の先行きをどう見るか、何年置けるかで選び分けてくださいまし。
Q. 高齢でも買える?相続のときはどうなる? A. 年齢制限はありません。保有者が亡くなった場合は、発行から1年未満でも相続人が中途換金できる特例があります。
Q. いくらまで買える? A. 1万円から1万円単位で、購入金額に上限はありません。
Q. 万が一日本が財政破綻したらどうなるの? A. 個人向け国債は日本政府が元利払いを行う債券ですので、理論上は政府の支払い能力がリスクになります。ただしその段階では銀行預金や円そのものも大きな影響を受けるため、円建てで持てる資産のなかでは最も信用力の高い部類ですわ。
Q. NISA口座で買えないの? A. 個人向け国債はNISAの対象外です。NISA枠は株式やETFに充て、国債は課税口座で保有するのが一般的な使い方ですの。
Q. いつでも買えるの? A. 毎月募集されます。募集期間は月初の発行条件公表日の翌営業日から月末営業日までです。
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まとめ:変動10年の仕組みと、買うべき人#
- 変動10年の利率は基準金利(10年国債の入札利回り)× 0.66。半年ごとに見直され、下限0.05%・上限なし
- 2026年9月募集は**変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%**で、変動10年がいちばん低い「逆転」状態
- 固定5年に追いつくには、今後5年の長期金利が**平均約3.39%**を超える必要がある
- 中途換金では直近1年分の利子(税引後)相当を返すので、2〜3年以上置けるお金で買うのが基本
- 保有者が亡くなった場合・災害時は、発行から1年未満でも換金できる
個人向け国債は「増やす」投資ではなく「守る」ための道具です。金利の先行きをどう見るかと、何年置いておけるかの2点さえ決めれば、3種類のどれを選ぶかは自然に決まりますわ。🌹






