売上は前年同期比24%増。それなのに時価総額は1年前より21%減っていますの。
これがサービスナウ(ServiceNow、NYSE: NOW)の2026年9月時点の姿ですわ。「将来性はあるの?」という問いに、雰囲気ではなく決算書と株価の実数でお答えいたしますわね🌹
なお、この記事を最初に書いた2026年3月から、前提が2つ変わっておりますの。**株式は5分割されて1株145.52ドル(約2.3万円)**になり、77.5億ドルの大型買収でバランスシートの形が変わりました。古い解説記事の「1株800ドル」という記述は、もう当てはまりませんのよ。
結論|将来性を3つの数字で先に言いますわ#
長い記事ですので、判断材料になる数字を先に3つ置いておきますわ。
| 論点 | 数字(出典・時点) | 意味 |
|---|---|---|
| 需要は本物か | cRPO 132.0億ドル・前年比+21%(2026年6月30日時点) | 向こう12か月に売上計上される契約残高。通期サブスク売上見通しの約84%が既に契約済み |
| 顧客は逃げていないか | 更新率98%(2026年Q2、3年平均も98%) | 契約期間は通常3年。解約でなく「アップセルの伸び」が業績を決める段階 |
| 株価は何を織り込んでいるか | 予想PER 30.2倍/PSR 10.2倍(2026年9月3日終値) | 1年前の水準からは大きく切り下がった。成長は続いているが、倍率は縮んだ |
つまり 「事業は減速していないが、株価の評価倍率が下がった」 というのが、いま起きていることですの。この2つを分けて考えないと、将来性の議論は感情論になりますわ。
以下、数字の出どころを1つずつ確認していきますわね。
前提の修正|NOW株は2025年12月に5分割済み。1株は約2.3万円ですわ#
ネット上の解説記事には、いまだに「NOW株は1株800ドル前後で高すぎる」と書かれているものが多くありますの。これは古い情報ですわ。
ServiceNowの10-Q(2026年6月期四半期報告書)に、こう明記されておりますの。
- 2025年12月5日:取締役会が5対1の株式分割を承認
- 2025年12月16日:基準日
- 2025年12月17日:効力発生日
分割後の株数は約10.3億株。分割前の約2.06億株の5倍ですわね。
そして2026年9月3日の終値は 145.52ドル。同日の為替が1ドル=155.74円ですので、1株あたり約22,700円で買える計算になりますの。
| 項目 | 数値(2026年9月3日終値) |
|---|---|
| 株価 | 145.52ドル |
| 円換算(1ドル155.74円) | 約22,700円 |
| 時価総額 | 1,505億ドル(前年比 −21.1%) |
| 発行済株式数 | 10.3億株 |
| 52週レンジ | 81.24 〜 194.73ドル |
| 実績PER(GAAP) | 85.42倍 |
| 予想PER | 30.18倍 |
| ベータ | 0.97 |
| アナリスト目標株価(49名平均) | 141.19ドル(現値より −3.0%) |
(出典: stockanalysis.com、2026年9月3日時点)
「1株が高額だからNISA成長投資枠を食いつぶす」という以前の懸念も、2.3万円なら当てはまりませんわ。前提が変わったのですから、判断もやり直すべきですのよ。
株価は1年で何が起きたのか|高値から−25%、安値からは+79%#
分割後の株価を時系列で並べますと、この1年の乱高下がよく見えますわ。
| 時期 | 株価(分割調整後・週足終値) |
|---|---|
| 2025年9月 | 約192ドル(52週高値 194.73ドル) |
| 2026年1月 | 約133ドル |
| 2026年4月 | 約83ドル(52週安値 81.24ドル) |
| 2026年6月 | 約102ドル |
| 2026年8月 | 約137ドル |
| 2026年9月3日 | 145.52ドル |
高値からは約−25%、安値からは約+79%。この間、売上は一度も減っていませんの。動いたのは業績ではなく、市場が払う倍率のほうですわ。
これは以前この記事で「中立シナリオ」として書いた 「業績は良いのに株価が上がらない」 という展開が、実際に起きたということですのよ。同じ構図はオラクルでも起きていて、受注残が363%増えたのに株価が半値になったORCLの事例と読み比べると、いま市場が何を嫌っているのかが立体的に見えますわ。
2026年Q2決算を実数で読む#
2026年7月22日(米国時間)発表、2026年6月30日締めの第2四半期実績ですわ。すべて会社発表の一次資料からの数字ですの。
| 指標 | 2026年Q2実績 | 前年同期比 | 為替影響を除く |
|---|---|---|---|
| サブスクリプション売上 | 38.77億ドル | +24.5% | +23% |
| プロフェッショナルサービス等 | 1.10億ドル | +8.5% | +7% |
| 総売上 | 39.87億ドル | +24% | +22.5% |
| cRPO(当期残存履行義務) | 132.0億ドル | +21% | +21.5% |
| RPO(残存履行義務) | 290億ドル | +21% | +22% |
| Non-GAAP営業利益 | 11.73億ドル(利益率29.5%) | — | — |
| GAAP営業利益 | 1.62億ドル(利益率4%) | −55% | — |
| フリーキャッシュフロー | 6.34億ドル(16%) | — | — |
| Non-GAAP純利益/EPS | 9.30億ドル/0.90ドル | — | — |
| GAAP純利益/EPS | 2.98億ドル/0.29ドル | — | — |
サブスクリプション売上が総売上に占める比率は 97.2%。ほぼ全額が継続課金という構造は、以前から変わっておりませんわ。
顧客側の数字も強うございます。
- 新規純ACV(年間契約価値)100万ドル超の案件が123件、前年同期比約40%増
- ACV 500万ドル超の顧客が658社、前年同期比約23%増
- 更新率98%(10-Qより。直近3年平均も98%、契約期間は通常3年)
大口が増え、既存顧客は逃げていない。需要面で崩れている箇所は、今回の決算では見当たりませんわ。
GAAP営業利益率4%という数字をどう受け止めるか#
ただし、上の表で目を止めるべきは GAAP営業利益率が4%しかない ことですの。Non-GAAPの29.5%との差は27億ドル近くあります。この差は何でできているのか、10-Qが内訳を出しておりますわ。
| Non-GAAPで除外される費用(2026年Q2) | 金額 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 株式報酬(SBC) | 6.55億ドル | 4.99億ドル(+31%) |
| 買収無形資産の償却 | 2.19億ドル | 0.25億ドル |
| 企業結合関連費用 | 0.75億ドル | 0.14億ドル |
| 退職関連費用 | 0.62億ドル | 0.29億ドル |
株式報酬6.55億ドルは、**売上の16.4%**にあたりますの。これは「現金は出ないが株数は増える」費用ですから、既存株主の持ち分は毎期薄まっていきますわ。
会社もこれを課題として認識していて、2026年5月4日のファイナンシャル・アナリスト・デーで 「2029年までに株式報酬を売上の10%未満に抑える」 とコミットしております。逆に言えば、いまは目標水準の1.6倍あるということですのよ。
「Non-GAAPで見れば利益率30%の優良企業、GAAPで見れば利益率4%の会社」——どちらも同じ会社の同じ四半期です。将来性を語るなら、この2つを両方見るのが最低条件ですわ。
cRPOとRPO|将来性を先に教えてくれる2つの指標#
サービスナウの将来性を測るうえで、売上高よりも先に見るべき指標がありますの。それが cRPO と RPO ですわ。
- RPO(残存履行義務)=契約済みでまだ売上計上していない金額の総額。2026年6月30日時点で290億ドル
- cRPO(当期残存履行義務)=そのうち向こう12か月に売上計上される分。132.0億ドル
10-Qによれば、RPO 290億ドルのうち 約46%が今後12か月に、残りの大半が13〜36か月で売上化される見込みですの。
ここで簡単な検算をしてみますわ。会社の2026年通期サブスク売上ガイダンスは157.60〜157.80億ドル。cRPOの132.0億ドルは、その**約84%**に相当いたしますの。つまり来期の売上の8割強は、すでに契約書の上で確定しているということですわ。
これがサブスクリプションモデルの強さですの。ただし裏返せば、cRPOの伸び率が鈍った瞬間に、1年後の売上成長率の天井が見えてしまうということでもありますわ。実際、会社のQ3ガイダンスではcRPO成長率が+19.5%と、Q2の+21%から一段下がっておりますのよ。
決算を読むときは、売上高より先にこの行を探してくださいまし。
会社が自分で出している「将来性」の数字#
「将来性」を推測する必要はありませんの。会社が数字で出しておりますわ。
2026年第3四半期ガイダンス#
| 指標 | ガイダンス |
|---|---|
| サブスクリプション売上 | 39.75〜39.80億ドル(+20.5%、為替影響除き+20%) |
| cRPO成長率 | +19.5%(為替影響除き+20%) |
| Non-GAAP営業利益率 | 31% |
2026年通期ガイダンス(Q2決算で上方修正)#
| 指標 | ガイダンス |
|---|---|
| サブスクリプション売上 | 157.60〜157.80億ドル(+22.5%、為替影響除き+21%) |
| サブスクリプション粗利益率 | 81% |
| Non-GAAP営業利益率 | 31.5% |
| フリーキャッシュフローマージン | 35% |
2030年に向けた長期目標(2026年5月4日 ファイナンシャル・アナリスト・デー)#
- サブスクリプション売上 300億ドル超
- ACVの30%をAI製品から創出
- Rule of 60+(為替一定ベースのサブスク成長率+FCFマージンが60超)を達成
- 2029年までに株式報酬を売上の10%未満へ
CEOのビル・マクダーモット氏は決算発表で「現在はRule of 56で運営しており、Rule of 60に向けて前進している」と述べておりますの。2026年のサブスク売上が約157億ドルですから、2030年に300億ドルというのは年率約18%の成長を4年続けるという宣言ですわ。
達成できるかは別問題ですが、少なくとも「どこを目指しているか」ははっきりしていますのよ。
AIは本当に売上になっているのか|ACV10億ドル突破#
AI銘柄の将来性を語るとき、いちばん怪しいのが「AIで成長します」という定性的な説明ですわ。ServiceNowはここに数字を出しました。
- ServiceNow AIの年間契約価値(ACV)が2026年Q2に10億ドルを突破
- AIのエージェンティック導入は9か月で9倍(CEO発言)
- 2030年目標はACVの30%をAIから
通期サブスク売上157億ドルに対してAI ACVが10億ドル。現時点では全体の1割弱という位置づけですわね。「AIで会社が生まれ変わった」段階ではなく、「AIが伸び始めた」段階と読むのが妥当ですの。
製品面では、2026年5月のKnowledge 2026で統合AI体験「ServiceNow Otto」、AIの稼働状況を統制する「AIコントロールタワー」、AIが行動する土台となる「Context Engine」を発表しております。Anthropicが初のデザインパートナーとなり、ClaudeをServiceNowのワークフローに直結させる「Action Fabric」も公表されましたわ。
エンタープライズのAI基盤という文脈では、Palantir(PLTR)の業務実装アプローチと比べて読むと、両社の立ち位置の違いが分かりやすくなりますわね。
77.5億ドルの買収で何を買ったのか|Armisとバランスシートの変化#
2026年の最大の変化は、財務の形が変わったことですわ。
Armis買収(サイバーエクスポージャー管理)
- 2025年12月23日発表、現金77.5億ドル
- 2026年4月20日に買収完了
- Armisは約70億台のデバイスをリアルタイム追跡(IT・OT・IoT・医療機器等)
- ServiceNowはこれにより「セキュリティ・リスク領域の市場機会が3倍以上に拡大する」と説明
Veza買収(アイデンティティインテリジェンス)は2026年3月に完了しております。
この2件が10-Qにどう表れたか、数字で見ますわね。
| 項目 | 2026年6月30日 | 2025年12月31日 |
|---|---|---|
| のれん(Goodwill) | 98.37億ドル | 35.78億ドル |
| 無形資産(純額) | 37.81億ドル | 11.21億ドル |
| 長期債務(社債) | 55.00億ドル | 15.00億ドル |
| 短期債務(CP) | 21.00億ドル | 0 |
| 現金及び現金同等物 | 25.03億ドル | — |
| 総資産 | 316.66億ドル | 260.38億ドル |
読み取れることは3つですの。
- 総資産316億ドルのうち、のれんが98億ドル(約31%)。買収した事業が計画どおり伸びなければ、減損リスクを抱える構造ですわ
- 有利子負債が約15億ドルから約75億ドルへ。2026年5月に5本の社債(クーポン4.25%〜6.30%)を発行しております。Q2の支払利息は0.66億ドル、前年同期の0.06億ドルから11倍ですわ
- 上期の営業キャッシュフローは22.57億ドルで、前年同期の23.93億ドルを下回りました。売上が23%伸びているのに営業CFが減った理由を、会社は「企業結合関連費用の増加」と説明しております
「無借金でキャッシュリッチなSaaS」という以前のイメージは、もう正確ではありませんの。セキュリティ領域への賭けに、財務レバレッジを使ったということですわ。この領域の競合環境はZscaler(ZS)のゼロトラスト分析も併せてご覧くださいまし。
バリュエーション|PSR 10.2倍・予想PER 30.2倍は割高か#
同業を実数で横に並べますわ。すべて2026年9月3日終値ベースですの。
| 銘柄 | 時価総額 | 売上(TTM) | 売上成長率 | 予想PER | PSR |
|---|---|---|---|---|---|
| ServiceNow(NOW) | 1,505億ドル | 147.3億ドル | +22.2% | 30.2倍 | 10.2倍 |
| Salesforce(CRM) | 2,175億ドル | 439.4億ドル | +11.2% | 17.5倍 | 5.0倍 |
| Workday(WDAY) | 498億ドル | 101.6億ドル | +13.4% | 16.7倍 | 4.9倍 |
| Microsoft(MSFT) | 3.79兆ドル | 3,318億ドル | +17.8% | 25.2倍 | 11.4倍 |
| Palantir(PLTR) | 4,385億ドル | 61.6億ドル | +78.9% | 89.0倍 | 71.2倍 |
(出典: stockanalysis.com)
こう並べますと、いくつか見えてまいりますわ。
- 成長率ではCRM・WDAYの約2倍。この2社と同じ倍率になる理由はございません
- PSR 10.2倍はMicrosoftの11.4倍より低い。かつて15〜20倍で取引されていた時期からは大きく切り下がりました
- ただしPLTRの71.2倍を見れば分かるとおり、市場は「AI銘柄だから高倍率」を一律には適用しておりませんの。成長率で線引きされておりますわ
もう1つ、無視できない事実がございます。49名のアナリストの平均目標株価は141.19ドルで、9月3日終値145.52ドルを下回っております。 レーティングは「Strong Buy」なのに目標株価は現値以下——これは「事業は評価するが、いまの株価はもう織り込み済み」という市場の見方が数字に出ている状態ですの。
なお、SaaSの健全性を測るRule of 40(成長率+利益率が40超)で見れば、為替一定ベースのサブスク成長率23%+通期FCFマージン見通し35%で58。会社が言う「Rule of 56」と概ね整合いたしますわ。この基準では依然として上位に位置しておりますのよ。
「サービスナウは割高・やばい」の中身を数字で切り分ける#
ネガティブな評価を見かけたとき、根拠が3種類に分かれますわ。それぞれ実数で確認いたしますわね。
1. 「GAAPで見ると全然儲かっていない」#
これは事実ですわ。 Q2のGAAP営業利益率は4%、前年同期比−55%。株式報酬6.55億ドル(売上の16.4%)とのれん償却2.19億ドルが効いております。ただし、これは買収を実行した期の一時的な膨らみを含みますし、会社は2029年までにSBC比率を10%未満へ下げると明言しております。**「構造的な赤字体質」ではなく「還元より投資と報酬を優先している状態」**と読むのが正確ですわ。
2. 「MicrosoftやSalesforceに潰される」#
競合の脅威は実在しますが、実数で見ると力関係は単純ではありませんの。ServiceNowの売上成長率+22.2%に対し、Salesforceは+11.2%、Workdayは+13.4%。しかもServiceNowはMicrosoftと協業しており、AIコントロールタワーのガバナンスをMicrosoft Agent 365エコシステムへ拡張し、AIスペシャリストをMicrosoftマーケットプレイスで提供しております。NVIDIA、AWS(マーケットプレイス取引額10億ドル突破)、Accentureとも組んでおりますわ。
3. 「AIエージェントがシート課金を壊す」#
これがいちばん本質的な論点ですの。1ユーザーいくらの課金モデルは、AIが人間の作業を代替すると必要ユーザー数が減るという構造リスクを抱えますわ。ServiceNowの答えは「AIコントロールタワー」——人間の席ではなく、AIエージェントそのものを統制する基盤で課金するという設計への転換です。AI ACV 10億ドル突破は、その転換が売上として立ち始めた証拠ではありますが、まだ全体の1割弱。この論点は決着しておりませんの。
将来性を3つのシナリオで、数字を入れて考える#
投資判断では「当たるか」より「どのシナリオに賭けているか」を自覚することが大切ですわ。
強気シナリオ:2030年サブスク売上300億ドルを達成する#
会社の長期目標どおり、年率約18%の成長を4年続け、AIがACVの30%を占める展開ですの。Armis・Vezaで広げたセキュリティ領域が寄与し、Rule of 60+に到達する。この場合、いまの予想PER 30.2倍は「安かった」ということになりますわ。
中立シナリオ:成長は20%前後で続くが、倍率はもう上がらない#
cRPO成長率がQ3ガイダンスの+19.5%からさらに緩やかに低下し、成長率が15%台へ収れんする展開ですわ。業績は伸び続けますが、株価は倍率の切り下がりで数年停滞いたしますの。この1年の株価がまさにこの動きでした(売上+24%、時価総額−21%)。アナリスト平均目標株価が現値を下回っている現状は、市場がこのシナリオに寄っていることを示唆しておりますわ。
弱気シナリオ:買収が回収できず、のれんが重荷になる#
汎用AIエージェントが基幹システムを直接操作できるようになり、ワークフロー中間層の価値が薄れる展開ですの。加えて、総資産の31%を占めるのれん98.37億ドルの減損リスクと、約75億ドルの有利子負債(クーポン最大6.30%)が同時に効きますわ。企業のセキュリティ・監査要件という参入障壁があるため短期の実現可能性は低いものの、10年スパンでは無視できませんのよ。
日本から買う実務|1株2.3万円、成長投資枠でも現実的に#
前提が変わりましたので、買い方の話も更新いたしますわ。
1株あたり約22,700円(145.52ドル×155.74円、2026年9月3日時点)。分割前は1株11万円超でしたから、NISA成長投資枠での扱いやすさは大きく変わりましたの。年間240万円の成長投資枠に対して、1株が枠の約0.9%ですわ。
手順は米国株の一般的な流れと同じですの。
- 米国株取引に対応した口座(総合口座+外国株取引口座)を開設する
- 円貨決済か、事前にドル転しておくかを選ぶ(為替手数料の差を確認)
- ティッカー「NOW」で検索し、指値または成行で注文
- NISA成長投資枠でも購入可能
証券会社ごとの為替手数料や取扱条件はSBI証券と楽天証券のNISA比較で整理しておりますわ。個別株を成長投資枠で持つ際の考え方は新NISA成長投資枠で個別株を買うときのガイドもご参照くださいまし。
為替の影響も忘れずに。 ServiceNowの売上のうち北米が63.3%(25.22億ドル)、EMEAが25.0%、アジア太平洋ほかが11.7%ですの。日本人投資家にとっては「ドル建て資産を円で買う」構図ですから、株価が横ばいでも円高になれば円ベースでは目減りいたしますわ。この論点は米国株の為替リスクとヘッジ戦略で詳しく扱っておりますの。
1株2.3万円でも個別株の値動きが不安な場合は、ServiceNowを組み入れたETF(IGV、WCLD、QQQ)経由で持つ選択肢もございますわ。
配当と株主還元|無配だが自社株買いは4倍近くに増えた#
ServiceNowは2026年9月時点で無配ですの。 インカム目的の投資には向きませんわ。
ただし還元がゼロというわけではございません。10-Qによれば、2026年上期の自社株買いは以下のとおりですの。
| 期間 | 取得株数 | 取得金額 | 平均取得単価(概算) |
|---|---|---|---|
| 2026年上期 | 2,015万株 | 23.33億ドル | 約115.8ドル |
| 2025年上期 | 348万株 | 6.59億ドル | 約189.1ドル |
金額で約3.5倍に増やしております。しかも平均取得単価115.8ドルは、9月3日終値145.52ドルより約20%低い水準ですわ。株価が下がった局面で買い増した形ですのね。
とはいえ、株式報酬が四半期6.55億ドル出ておりますので、自社株買いの相当部分は希薄化の相殺に消えている点は押さえておくべきですわ。配当収入を目的とするなら、高配当ETFのVYM・HDV・SPYD・SCHD比較のほうが目的に合致いたしますのよ。
次の決算でチェックすべき5つの指標#
第3四半期決算は10月下旬の発表が通例ですわ。見るべき行は決まっておりますの。
| 指標 | Q2実績 | Q3ガイダンス | 悪化のサイン |
|---|---|---|---|
| サブスク売上成長率 | +24.5% | +20.5% | ガイダンス下限割れ |
| cRPO成長率 | +21% | +19.5% | 19%を割ると1年後の売上成長率の天井が下がる |
| Non-GAAP営業利益率 | 29.5% | 31% | 未達なら買収の統合コストが想定超 |
| 株式報酬/売上 | 16.4% | — | 上昇継続なら2029年目標が遠のく |
| 通期ガイダンス | 157.60〜157.80億ドル | — | 据え置き・下方修正は失望売りの引き金 |
特にcRPOですわ。売上として計上される前の「確定した将来の売上」ですので、業績の変調はまずここに現れますの。決算当日に株価が大きく動くのは、多くの場合cRPOとガイダンスが市場予想と乖離したときですのよ。
よくある質問(FAQ)#
Q. サービスナウの将来性は結局あるのですか? A. 需要指標(cRPO +21%、更新率98%、大口顧客+23%)は2026年Q2時点で減速しておりません。一方で、株価の評価倍率はこの1年で大きく切り下がり(時価総額−21.1%)、アナリスト平均目標株価は現値を下回っております。事業の将来性と株価の割安さは別の論点ですので、分けて判断なさってくださいまし。
Q. NOW株は分割されたのですか? A. はい。2025年12月17日を効力発生日として5対1の株式分割を実施しております。分割後の株価は2026年9月3日終値で145.52ドル、約2.3万円ですわ。
Q. なぜGAAPの利益率が4%しかないのですか? A. 株式報酬6.55億ドル、買収無形資産の償却2.19億ドル、企業結合関連費用0.75億ドルなどがGAAP営業利益を押し下げているためですの。Non-GAAPではこれらを除外して29.5%となります。どちらか一方だけを見るのは危険ですわ。
Q. ServiceNowとSalesforceはどう違いますか? A. Salesforceは「顧客との接点(CRM)」、ServiceNowは「社内の業務フロー」が本業ですわ。ただしAIエージェント領域では正面から競合し始めております。売上成長率はNOWが+22.2%、CRMが+11.2%(2026年9月3日時点)ですの。Salesforce(CRM)の分析記事、Workday(WDAY)の分析記事と併せてご覧くださいまし。
Q. 大型買収は将来性にプラスですか、マイナスですか? A. 両面ございますわ。プラス面はセキュリティ・リスク領域の市場機会が3倍以上に広がったこと。マイナス面はのれんが98.37億ドル(総資産の約31%)に膨らみ、有利子負債が約75億ドルへ増え、支払利息が前年同期の11倍になったことですの。買収先の成長が計画どおりかを、今後の決算で確認し続ける必要がございますわ。
Q. 初心者が個別株として買うのは危険ですか? A. 直近52週で81.24ドルから194.73ドルまで動いた銘柄ですわ。決算のたびに二桁動くことも珍しくございません。値動きに耐えられるか不安なら、まずETF経由で小さく持ち、感覚をつかんでから比率を上げる方法が現実的ですのよ。
まとめ|「事業の将来性」と「株価の割安さ」は別の話ですわ#
2026年9月3日時点の実数を並べ直しますわね。
強い材料
- サブスク売上38.77億ドル(+24.5%)、通期ガイダンスを上方修正
- cRPO 132.0億ドル(+21%)=通期サブスク売上見通しの約84%が契約済み
- 更新率98%、ACV500万ドル超の顧客658社(+23%)
- ServiceNow AIのACVが10億ドルを突破
- PSR 10.2倍は、成長率が半分のMicrosoft(11.4倍)より低い
弱い材料
- GAAP営業利益率4%、株式報酬は売上の16.4%
- のれん98.37億ドルが総資産の約31%、有利子負債は約75億ドル
- 上期営業CFは前年割れ(22.57億ドル ← 23.93億ドル)
- cRPO成長率はQ3ガイダンスで+19.5%へ減速
- アナリスト49名の平均目標株価141.19ドルは、現値145.52ドルを下回る
事業として崩れている箇所は、今回の決算では見当たりませんの。けれど株価は、その良い数字をすでに相当程度織り込んでおりますわ。「将来性がある」ことと「いま買って報われる」ことは、同じ意味ではございません。
だからこそ、次の四半期のcRPOと株式報酬比率を、ご自身の目で確かめてほしいのですわ。数字は嘘をつきませんもの🌹






